合唱の発声と練習の仕方とは?一緒に疑問を解決!

歌声の出し方

「合唱だと歌えても、カラオケで一人で歌うと何だか歌いにくい」

「なぜか合唱とカラオケで全然違う声になってしまう」

「合唱をやると地声の音域が狭くなる気がする」

これは、合唱部に所属する女子高生たちの疑問の声です。
 

部活なので、カラオケよりも合唱の方が歌う時間は長いでしょう。

なのでどうしても、合唱での声や歌い方を基準にして考えがちです。
 

ですが合唱だと歌えるという、その「合唱の発声」とはどんなものなのでしょうか?

そこが解明されたら、一人で歌うときの違和感も減ってきますよ。
 

普段の歌い方を振り返りながら、一緒に疑問を解決していきましょう。

目次

合唱の発声と練習の仕方とは?

本当のところ、合唱のときにだけする、合唱のための発声なんてありません。

合唱でも一人での歌唱でも、どちらもあなたの体・声帯を使って歌っているわけです。

だから、歌うときの体の使い方も、息のコントロールも、基礎的な部分は変わらないのです。
 

とはいえ、合唱に慣れ親しむと、楽しいだけではなく、先に述べた女子高生のような疑問が出てくることもあるでしょう。

合唱とは、大勢で歌い、そしてハーモニーを奏でていくのが醍醐味ですよね。

しかもその大勢は、一人一人違う声質の人たちの集まりです。

だから同じ旋律(メロディー)を歌うときに、なるべく音色を揃えようとしますよね?

一人の声が突出して聴こえてしまっては音楽を乱しますから。
 

すると、女性は頭声で歌う傾向になるのです。

もちろん、高い音域になればそれは自然のことです。

そうではなく、中低音域からすでに頭声「気味」になってしまう傾向がある、ということです。

これは決して頭ごなしに否定しているのではありません。

ただそのことが、一人で歌ったときに違和感を感じる理由だと言いたいのです。
 

ちなみに頭声とは、頭に近い器官(口腔や鼻腔など)で声を響かせる(共鳴させる)声のことです。

本来なら、いい意味で使いたいところですが・・・

頭声「気味」としたのは、息が弱めで声が前に出にくいとか、響きが少なくて声がぼやけている、といった中途半端な状態がよく見受けられるからです。
 

もし合唱のときに、中低音域から頭声気味で歌うことに馴染んでいるとどうなるでしょう?

一人で歌うときも、無意識のうちに歌い出しから頭声気味になってしまう…

中低音から頭声なので、地声で歌う部分がなくなる(地声の幅が狭くなると感じる)…
 

このように、女子高生が疑問に思っていたような状態が起きるわけです。

大勢で歌う・一人で歌う、この両者であまりに歌い心地が違うのは気になりまよすね。
 

でも大丈夫です。

その感覚のギャップを縮めていくための練習がありますので。

これから3つの練習方法をご紹介します。

・鼻をつまむ
・手首を振る
・前屈になる
 

早速、一つ目から解説していきますね。

鼻をつまむ

こちらは鼻をつまんだまま歌う、という方法になります。

片方の手で鼻をつまんで、鼻の穴を塞いでしまいましょう。
 

中低音域で頭声気味になっていると、息がしっかり流れていない場合が多いです。

なぜ流れていないかというと、鼻の方にも息が流れてしまっているからなんですね。

つまり、口に流れる息と、鼻に流れる息と、2つの道に分散されている状態なのです。

なので鼻をつまむことで、道をひとつにしてしまいます!
 

それでは鼻をつまみ、何か適当な発音(母音のみ)でちょっと発声してみてください。

(例)
音:ドーレーミーレードー
発音:ウ―オーアーエーイー




もしつまったような声になったら、それは息が鼻の方に流れている証拠です。

つまったような声とは、マ行やナ行を鼻をつまんで発音したときの、あの感じの声ですね。

とはいえ、ガッカリするところではありません!
 

つまった声(鼻にかかる声)が発見されたら、それは改善できる部分が見つかったんだ!と捉えてください。
 

しばらく鼻をつまんで発声していると、徐々につまった感じがなくなり声がはっきりしてきます。

まさにそれが、息が整った!というサインです。

つまり、口の方からだけ息が流れるようになった、ということです。
 

そうなったら、ようやく鼻をつまんでいた手を外して、改めて同じものを発声してみましょう。



声がいつもより明瞭になっていませんか?声が進みやすい、ボリュームが増した、声が良く響く、といったような良い感覚があると思います。

あなたは、普段からそのような声で歌っていいのです。

 

さらに応用するなら、鼻をつまんで何か好きな曲又は合唱曲を歌ってみましょう。

曲になると、歌詞の中にマ行やナ行が必ず含まれますよね。

だからつまったような声(鼻にかかる声)がときどき出てくるのは普通のことです。

それらのことは気にせず、ただしっかりと歌い進めてください。

さあ、どうぞ!



その後で、鼻をつまんだ手を外し、同じ曲をもう一度歌ってみましょう。

きっと、いつもとは違う歌い心地になると思いますよ。
 

手首を振る

これは、左右の手首を振りながら歌う、という方法です。

手首を振るのは、柔軟体操のときのように四方八方にブンブン振ります。

ひじを曲げたりせず、体の横で手首を振りましょう。
 

体の横で手首がブンブン振られていると、人は自然とバランスをとろうとするのです。

すると、体の重心が踏ん張り出すんですね。

手首を振るという動作を続けながら、体の重心も踏ん張りながら、という中で「歌う」ことを体にさせるわけです。

もう、しっかり声を出すしかないという状態です。

だから歌うときの「体の支え」が増えるのはもちろん、息が鼻に行きにくくなるという効果も期待できるのです。
 

先ほど、「中低音域で頭声気味になっていると、息がしっかり流れていない場合が多い」とお伝えしましたね。

手首を振りながらでは、もはや中途半端な状態では歌えなくなるので、中低音域での本来の声(息の流れ)で歌うしかありません。
 

ぜひこの方法でも、一人で歌う曲・合唱曲どちらも歌ってみてください。

体の踏ん張りが始動するためにも、歌うことに気を取られずに、手首はしっかりとブンブン振ってくださいね!

 

ひとつ補足します。

手首を振ったとき、左右のどちらかが振りにくい場合があります。

それは、力みが入っているからです。

手首の力みは声の力みにつながるので、力みを抜くよう意識しながらしっかり振ってください。
 

前屈になる

まず、肩幅よりも足を開いて立ちます。

上半身を前に倒して前屈し、頭と腕をだらんとした状態で歌います。
 

合唱と一人での歌唱で違和感があるということは、言ってしまえば歌い方に不自然さがあるわけです。

前屈になると、不自然な歌い方やその他の歌い癖などは出せなくなってしまうのです。

声は行ける方向にしか行けなくなる・・・

言い換えると、声の方向(進む道)を整えることができる、ということなのです。
 

ですから深く考えず、前屈でただしっかり声を出して歌いましょう。
 

このとき、ポイントが2つあります。

・頭が持ち上がらないこと(頭はダランとしたまま)
・自分の声の聴こえは気にしない
 

もし頭が持ち上がったら、それはあなたの歌い癖や、必要のない力みが入ってしまった、という証拠です。

すぐに力みを緩めて、頭を下ろしましょう。
 

仮に力みが緩まなくても、始めのうちは無理矢理にでも頭を下ろすことです。

首に力みが入ったままでは苦しくて歌えなくなるので。
 

そして、前屈のときの声は、立って歌うときの声とは聴こえが違ってきます。

遠くに聴こえる感じ、こもっている感じ、よく聴こえない感じ、といったような聴こえ方になるのです。

でも、前屈のときはその聴こえ方が正解なんですね。

だから安心して、何も気にせずただ歌い進めて大丈夫です^^
 

もしも逆に、前屈なのに立っているときと同じ聴こえ方になったら・・・

それは頭が持ち上がって首に力が入っていると判断できます。

 

それでは、肩幅より足を開き、前屈になって好きな曲を1番まで歌ってみましょう。



クラクラしないようにゆっくりと起き上がったら、すぐにまた1番を歌ってみます。

(深く考えずに、パッと歌ってしまいます!)



どうだったでしょうか?

楽に歌える感じ、声が進みやすい、ボリュームが増した気がする・・・etc.

といったような良い体感があったのではないでしょうか?
 

先ほど、前屈で歌うと声の方向を整えることができるとお伝えしました。

実はさらに、前屈になると「吸って・吐いて」という息の使われ方が勝手にパワーアップするという効果もあるのです。

息の量が増えたり、息の流れが促されたり♪
 

前屈の後で良い体感がくるのは、息が増えることも大いに関係していたんです。

また、鼻をつまむでは「中低音域で頭声気味になっていると、息がしっかり流れていない場合が多い」とお話しましたよね。

人によっては、常に声を後ろに引く感覚で歌っていたり、口はよく開けて響きのある声なのに前に出にくかったり・・・

感覚は様々でしょうけど、どちらにしても息がしっかり流れていないという共通点があるわけです。

それが前屈で歌うと、「吸って・吐いて(歌うときの息)」が促されるので、その人なりの歌いにくさというものが解消されていくのです!

これは、試さない手はありません^^

 

ここまで3つの方法をご紹介してきました。

これらの方法で、合唱曲・一人で歌う曲、どちらも同じぐらい練習してくださいね。

そうすれば、大勢で歌っても一人で歌っても、感覚のギャップが少しずつ縮まっていくはずです。
 

合唱とソロでの違いとは?

合唱とソロ(一人で歌う)の大きな違いとは、一体何でしょうか?
 

それは、周りの声を聴く、ということです。
 

ソロでは、ピアノやオーケストラ(もしくは音源)などの伴奏は聴きますが、他の人の歌声を聴くことはないですよね。

一方で合唱は、左右前後の人や、さらには他のパートも聴きながら全体のバランスを取ることが必要になってきます。
 

合唱でもソロでも、歌うときの体の使い方という基礎的な部分は全く同じです。

ですが合唱は全体のバランスを取るために、周りの声を聴きながら音量を調整する、ということはしているのです。
 

例えば、各パート(ソプラノ・アルト・テノール・バス)が4人位で、みなソリストで構成されているアンサンブル(少人数の合唱)を聴いたことがありますか?

オラトリオ(合唱とソロ、オケで構成されている楽曲)を演奏するとき、多くは合唱の人・ソロの曲を歌うソリスト、と歌い手を分けています。

ですが上記のようなアンサンブルでは、メンバー全員が合唱もソロの曲も両方歌ってしまうのです。

ソロを歌った後、またすぐに他メンバーに混じって合唱を歌う。

ちゃんとこれが成り立っているわけです。
 

ちなみに、もし合唱のときの発声、ソロのときの発声といちいち使い分けていたら、とてもじゃないですが歌い続けられません^^;
 

そして「音量を調整する」といっても、単に声を小さめにとか控えめにするわけではありません。

例えば主旋律が弱く聴こえるときは、ソプラノが音量を上げることだってあるからです。
 

「周りの声を聴く」ことでバランスを取る、という意味での調整です。
 

私自身も音大を卒業後に、アンサンブルで合唱もソロも歌うという演奏形式で実際に歌っています。

一見すると大変そうに見えますが、実はソロ曲を歌うときに楽なんですね。

合唱とソロの人を分けて行う演奏だと、合唱のときはずっと座って待つので体が休まってしまい、ソロの曲になったら奮起して歌うわけです。

アンサンブルでは合唱をずっと歌っているので、ソロの曲になってもスッと入っていけるのです。
 

説明のためにやや極端な例を出しましたが、つまりは合唱も一人で歌うときも、本質的には発声での違和感が出ずに歌えるものだ、ということです。

まとめ

最後にポイントをまとめておきます。
 

・合唱も一人での歌唱も、同じ発声で歌える。

・両者で違和感を感じたら、3つの方法を駆使して感覚のギャップを縮めよう!

・その方法とは「鼻をつまむ・手首を振る・前屈になる」

・合唱は、周りの声を聴いてバランスを調整するもの。
 

これからも益々、合唱ライフを楽しんでいってください!

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