「いつも高い声で歌ったり話したりすれば、いつか高くなるかな?」
「すごく喉を閉めると高音を出せるけど、小さい声でしか歌えない」
試行錯誤して頑張っていること自体はポジティブです。
しかしながら、実はその行動がむしろ高い声を出しにくくしてしまっているのです。
そのあたなの頑張りを、ちゃんとした練習方法で歌うことに向けたなら確実に今までの状態から抜け出せます。
どのような方法なのか、これから説明していきましょう。
目次
高い声を出す方法とは?
高い声を安全に、しっかりとした声で出したいですよね?
そのためには、ちゃんと体を使って声を出す、これにつきます。
歌うとは、自ら音声を発すること。
だから自分の体が楽器のようなものです。
喉だけで歌っていたから、いつまでたっても高い声が出しにくいままなだったのです。
ずっと高い声だけ出しいても進歩しないし、意識的に喉を閉めるなんて間違ってもしてはいけません!
では、体を使って声を出すにはどうするかというと・・・
この2つのトレーニングがお勧めです。
・前屈して、体を揺らす
・正座して、腕を伸ばしてうつ伏せ
どんな体型の人でも、変声期の人でも、老若男女問わず、ポイントを押さえて行えば誰でも効果が期待できますよ。
それではひとつずつ解説していきましょう。
前屈して、体を揺らす
まず、肩幅より足を開いて立ちます。
体を前に倒して前屈し、頭と腕は力を抜いてだらんとしましょう。
そして、上半身を上下に揺らします。
この状態で発声をする・歌を歌う、という方法になります。
前屈になると、そもそもが歌う体勢ではないので声が進める方にしか進めなくなるんですね。
つまり、良い意味でその人の歌い癖や力みが出にくくなるのです。
なので深く考えずに、とにかく身を任せてただしっかり歌えば大丈夫です。
ひとまず、前屈で体を揺らしながら、何か1曲歌ってみましょう。
始めは無理せず、歌いやすい曲、簡単な曲でやってみてください。
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どうだったでしょうか?
いろんな意味で、立って歌うときとは違う感覚になりましたよね?
もし歌いにくかったとしたら、それはあなたがこれから改善していける部分なので大丈夫ですよ。
実は、上手く行うためのポイントが2つあります。
(1)頭をだらんとする(頭を持ち上げない)
(2)声の聴こえ方は気にしない
(1)はとても重要です!
喉だけで歌う人は、誰もが首周りに力みが入ってしまっています。
特に高音がきたら首に力みが入り、頭がクッと持ち上がってしまうのでは?と推察します。
高音の力みは、中低音の力みよりもかなり強めです。
(写真は、頭がクッと持ち上がったときの例です。頭も腕もだらんとして行いましょう。)
実はその力みを出にくくするために、体を上下に揺らしているんですね。
力みは、止まっているときより、動いているときの方が入りにくいもの。
しかも、同時に2つの動き(体を上下に揺らす、頭を持ち上げる)をするのは大変なので、上下に揺れていれば自然と頭は上がりにくくなるというわけです。
もちろん発声的な面でも助けになっていますよ。
体を揺らすという動きがあることで、止まっているときよりも「吸って・吐いて」の息の使われ方が勝手に増えるのです。
これは高音を歌うのに大いに助けになりますよね。
そして(2)声の聴こえ方は気にしない、これも同じく重要です。
前屈で下を向いているとき、自分の声は立って歌うときとは違う聴こえ方になるんですね。
例えるなら、遠くに聴こえる感じ、こもった感じ、はっきり聴こえない感じ、といったような聴こえ方です。
一見すると、よくなさそうに思えますよね。
でも前屈で歌っているときは、この聴こえ方が正解なので安心してください^^
高い声が出なくて奮闘していると、どうしても声に聴き耳を立て過ぎてしまうもの。
その声を聴いて気持ちまで滅入ってしまう…
でもこの練習では、むしろ声の聴こえを気にしなくていいのです!
あれこれ考えずに、前屈で揺れながら歌う、ただそれだけでOK。
ちなみに、もしも前屈の体勢にも関わらず、立って歌うときと同じ声の聴こえ方になるときは気をつけましょう。
それは首に力が入っている、つまり頭が持ち上がっているときだからです。
それでは、ポイントを押さえたところで、またさっきと同じ曲を歌ってみてください。
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始めにいきなりやってみたときより、格段に歌いやすくなっていませんか?
そして、前屈で歌った直後に、ゆっくり体を起こして立った状態でも歌ってみてください。
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喉が閉まるなんて感覚はなく、声が進みやすい、喉が楽なのに声が出やすい、声が大きくなった感じ、といったようなポジティブな感覚がくるはずです。
前屈→立つ、前屈→立つ、これを行う中で歌いやすいときの体感を体にどんどん馴染ませていきましょう。
もしあまりに強固な力みだと、たとえ体を揺らしても高音で頭が上がってしまう、という場合もあるかもしれません。
でもがっかりせずに!
頭が上がったら下ろす、上がったら下ろす、を繰り返せばいいのです。
その度に、あなたは自分の力みを自分の意志で緩めることができているのですから。
正座して、腕を伸ばしてうつ伏せ
まずマットを敷くか、奇麗なところで正座をします。
お尻をつけたまま両腕を前に伸ばし、頭と両手をマットにつけてうつ伏せの状態になりましょう。
そして太ももが辛くない程度に、少しだけお尻を持ち上げます。
(この体勢から、少しだけお尻を持ち上げます。ここまで腕をピンとしなくても、もっとひじを緩ませて大丈夫です。)
この体勢のまま歌を歌う、という方法になります。
(もしも、少しお尻を持ち上げる体勢だと膝が痛いなど不具合がある場合はそもままで大丈夫です。ただ、お尻を持ち上げた方が効果が増します。)
これを行うときのポイントは2つ。
(1)頭は、体を倒して自然とつくところ(顎を引いたりしない)
(2)声の聴こえ方は気にしない
「前屈して、体を揺らす」と同じく、顔が下を向いているので、立って歌うときとは声の聴こえが違います。
だから自分の歌声を気にせずに、ただしっかりと歌うだけでOK!
実はこの方法も、「吸って・吐いて」の息の使われ方が、立って歌うときよりも増えるんですね。
しかも、立って前屈するよりもさらに体が折り畳まれているので「体を使っている!」という体感を得やすいと思いますよ^^
この方法の大きなメリットは、頭を床につけてしまっているので「頭が上がるかも?!」というのを気にしなくていいことです。
断然、首に力が入りにくくなります!
正座でうつ伏せの体勢で歌った直後に、真っすぐ立って歌ってみてください。
「前屈して、体を揺らす」のときと同じように、歌いやすさが実感できるのではないでしょうか。
ちなみにマットがなくても、ご自宅の床や畳の上など奇麗な場所ならどこでもできますからね。
私はヴォイストレーナーをしていますが、自宅では音を出せずカラオケに行って発声練習をするという生徒さんもいます。
ちょうどソファが固めなので、その上で「正座になってうつ伏せ」を行っているそうですよ。
ひとつ補足があります。
2つの方法どちらでも、やりやすい方を選んでくださいね。
もちろん両方やってもOK!
ただ、どちら体勢も頭の位置が下方から上方へと移動するため、体調によっては体を起こしたときにクラっとする場合があるかもしれないのです。
そのときは無理をせずに様子をみてくださいね。
カラオケで歌うときの注意点
高い声の歌手に憧れたり、高い曲に挑戦したいと意欲を燃やす、それ自体はポジティブで私自身も応援したい気持ちになります。
ただ一方で、声帯は一人一人みんな違い、その声帯の形(太さ・長さ・厚み)によって声の高さもある程度は決まってくるものなのです。
これはもう、変えようがありません!
だからカラオケでは無理なキーで歌わずに、なるべく声を出しやすいキーに合わせて歌いましょう。
原曲のキーにこだわり過ぎる必要もないのです。
これは諦めでもなんでもありません。
学校の音楽の授業で、テノール・バリトン・バス、という声域の名前を習ったことがありませんか?
テノール(声が高い)の人が、バス(声が低い)の人が得意とする低い曲は歌えませんよね。
もし声は出たとしても、バスの人が歌った方がずっと低い曲の良さを出せます。
逆のこともしかりです。
もっと別の例えをすると・・・
何かのミュージカルで天使と魔女が出てくるとします。
どちらも女性の声をイメージしますよね。
さらに天使は高い声、魔女は低い声をイメージするのではないでしょうか。
もし逆に、低い声の天使、高い声の魔女だとちょっと変になる…^^;
つまり、声にはそれぞれの良さ・持ち味があり、それを活かせる歌を歌うのが一番だということです。
カラオケで元々が無理なキーをいつまでも挑戦し続けても、喉が疲れるだけ。
やり過ぎると声帯を痛めかねません。
先ほどお伝えした2つの方法も、どう考えても無理なキーではやらないこと。
高い音が出るけど喉に力が入る、もっと上手く歌えそうなのに、という状態にある曲でぜひ実践してくださいね。
高い声を出す方法〜まとめ〜
これまでの内容をまとめておきます。
・喉だけ頑張っても高い声は無理。ちゃんと体を使って出そう!
・前屈して、体を揺らす →頭をだらんとする。声の聴こえは気にしない。
・正座して、腕を伸ばしてうつ伏せ →顎を引かない。声の聴こえは気にしない。
・自分の声に合った曲を歌っていこう。
高い声が出やすくなったら、歌うことがどんどん楽しくなりますね^^
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