音域を広げる方法はある?地声の音域が狭くて悩む人必見!

歌声の出し方

「自分はなぜこんなに音域が狭いのだろうか?」

「音域が狭すぎて何を歌っても喉が苦しくなる」

「叫べば〇音まで出るけど、ひどい声で歌には全く使えない。もっと音域を広げたいのに…」
 

音域が狭くて悩んでいる人には共感できる言葉ではないでしょうか。

音域が狭いなら、広げればいい。

・・・と、そう簡単な話ではありません。
 

では一体どうしたらいいのでしょう?

その解決の糸口を、これから探っていきませんか?

目次

音域を広げる方法ってあるの?

単刀直入ですが、実は音域を広げる明確な方法というのはないのです。

ガッカリさせてしまったらごめんなさい。
 

でも一体どういうことなのか?

分かりやすいように、水泳を例にしてみます。

クロールも平泳ぎも(地声も裏声も)、どちらもちゃんと泳げます(しっかり声が出ます)。

だから今度は、50メートルのタイムを2秒速くする方法(音域を2音広げる方法)を教えてください。

このように言っているような感じなのです。(あくまでも例えです。)
 

タイムを速くするための練習はひとつではありませんよね。

基礎体力をさらにつける、フォームをより改善する、または個人の泳ぎ癖を直すなど様々なことが関係してきます。
 

音域を広げるのも同じことが言えるのです。

高音域でも踏ん張れる「体の支え」をより鍛える、歌うときの息の流れを促す、自身の歌い癖を改善していく・・・

他にも個人の課題に取り組むなど、いろんな要素が絡み合っているわけです。
 

しかも歌を歌うとは、自分の体が楽器のようなもの。

その体(楽器)は一人一人違うので、取り組む課題や進歩具合もそれぞれに違ってきます。

そういうわけで、音域を広げる明確な方法はない(取り組みは人それぞれ)ということになるのです。
 

だったらどうしたらいいの?

という声が聞こえてきそうですが・・・

その前に、そもそもあたなの「音域」は、本当にその幅なのでしょうか?

最高音はその音なのでしょうか?
 

地声の音域が狭くて悩んでる?

音の高さが何であれ、調子が良いときと悪いときでは歌い心地に差が出ますよね?

皆さんが最高音としているのは、当然ながら調子が良いときの声でしょう。

だから、調子が良いときでも出ない音であれば、それはもう無理な音…と判断する。

それは一見、いたって普通のことに見えます。
 

でももし、調子が良いときのあなたの「発声」に注目したならどうなるでしょう?

実は音域が狭いと悩む人たちは、喉の力みがかなり強い傾向にあるんですね。

言ってしまえば、自ら音域を狭くする歌い方をしている、という感じです。

本来なら、(あなたの声帯にとって)地声で出るはずの音域だったとしても、喉の締めつけによって声が進めなくなっているのです。
 

なのであなたの自己判断の音域は、あまり・・・当てになりません。(ごめんなさい!)

なぜって、調子が良い(と思われる)ときの発声をちょっと改善したなら、すぐに音域は変わるからです。

だから、音域のことは(今まで程には)悩まなくていいのでは?と思いますよ。

 

私は普段ヴォイストレーナーをしています。

音域が狭くて悩んでいる人は、初回のレッスンで自己申告をしてくださったりします。

「私はすごく音域が狭いです」

「下は◯音まで、上は◯音までが私の音域です」

「私の最高音は◯音ですが、叫ぶ感じだと出せる音です」
 

このように教えてくださるんですね。

ある意味では、ご自身の声や歌に一生懸命に取り組まれているわけですが・・・

当然ながら、そのような申告は無視して(再びごめんなさい!)、今現在のおおよその音域を確認させて頂きます。
 

すると、どうなるでしょう?
 

全員が全員、申告の音域よりも広い声を出しています^^

もちろん初日なので、今のところの音域です。

しかもいくつかトレーニングをすると、音域を確認したときよりもしっかりした声で発声するようになるのです。

いつも苦しいと感じていた音域も、ちょっとしたことで歌い心地は変わってきます。

 

・・・こう書くと、「歌」はすぐに良くなれるんだと勘違いされそうですが、それはちょっと違いますので^^;

先ほど、音域が狭いと悩む人は、喉への力みが強い傾向があるとお伝えしましたよね。

歌声は、息の流れに乗って前に出ていきます。

しかし、喉が力むと息の流れが停滞する(流れにくくなる)ので、声が出ていきにくくなるわけです。

その結果として、音域が狭くなるとも言えます。
 

あまりに息が流れていない状態から、(初めて)息の流れを促してあげるので、ドバッと変化を感じやすいということなのです。

変化を感じられても、それがずっと続くわけでありません。

良い状態を安定させるためには、言うまでもなくトレーニングを継続することです。
 

ちなみに、もうお分かりだと思いますが・・・

叫んだときの高音、喉を閉めて絞り出すような高音、それはご自身の音域の最高音ではありません。

そして、その出し方は自ら音域を狭くしている原因です。

よければ、今までの声の出し方は一旦横に置いてください。

そして、音域を広げることに「繋がる」という気持ちで、これからご案内するトレーニングをやってみませんか?

 

★この記事は、地声の音域が狭い人に向けて書いています。

さらに高音域、裏声での音域を考えている人は、こちらの記事をぜひ参考にしてください。
高い声を出す方法とは?体を使ったトレーニングをしよう!

 

音域を広げることに繋がるトレーニング

骨格や口のサイズ、歌うときの体感は一人一人違いますよね。

だから、一言で「喉の力み」と言っても細かく見れば人さまざまなのです。
 

例えば唇を強く引っ張る人、顎がガチガチに固い人、舌が盛り上がる人、常に顎が上がる人・・・etc.
 

どれにしても、喉周りの力みを生じさせているという意味では共通していると言えます。

なので個々の癖を全部引っくるめて、ここでは「喉の力み」としています。
 

そんな状態から脱するために取り組むのは、この2つです。

・力みを緩めること
・そして、息の流れを促すこと
 

まずは力みを緩めなければ、ずっと息も流れにくいままでしたね。

そして注目したいのは、歌うときに力む、ということ。

だから「歌いながら緩める方法」でなければ、本当の意味での改善にはなりません。
 

つまりは、力みを緩めて、息の流れを促して、歌いながら練習する、そんな練習方法にしたいわけです。
 

そこで「息を吐く・発声する」をセットにして行います。

より具体的に言うと「歌うときと同じ長さの息を吐く→その直後に音程をつけて歌う」という方法になります。
(※息の吐き方は下記に詳細があります。)
 

例えばこんな感じで。

(歌うときと同じ長さの息を吐く)
音:ドーレーミーレードー
息:スーーーーーーーーー

(音程をつけて歌う)
音:ドーレーミーレードー
発音:アーエーアーオーアー
 

これを、音階練習(半音ずつ上がる・下がる)をしていくのです。

一人での練習はやり難い部分もありますが、スマートフォンにピアノ(又はそれに準ずる)の音を録音したりして工夫してみてください。

 

☆音は、低音域から中音域を丁寧に行いましょう。

高音域に入るまでの音域が安定していないのに、高音域だけ声が出る・音域が広がる、という都合のいいことは起こりません。

中音域が力まずに息が流れているから、高音域にも声を繋げていけるのだと捉えてくださいね^^

 

☆それから「息を吐く・発声する」をセットで行うとき、大切なのは「息を吐く」ことの方です!

「息を吐く」で流れを促し、体にその感覚をリハーサルさせた直後に、声を出して発声する。

だからしっかり息を吐けば、比例して、発声のときの声も進みやすくなります。

なぜなら、しっかり息を吐いた直後に、急に息の流れを停滞させる方が難しいからです。
 

逆に、もし息を曖昧に吐けば、発声のときの声も進みにくいまま。

もともと息が流れにくいのに、直前のリハーサルでも息を流さなければ何の変化も望めないのは、何となく想像がつきますよね。

 

※「息を吐く・発声する」での、息の吐き方について。

文字にすると「スー」なのですが、厳密には子音Sだけになります。
 

「Suー」と唇が母音ウの形になると、どうしても口周りが力みやすくなるんですね。

なので、唇はすぼめたりせず、横に引っ張ったりもせず、普通にリラックスの状態で行いましょう。
 

一番近いイメージとしては、静かにしてほしいときに「シッ!」とやるときの唇です。

今、試しに「シッ!」とやってみてください。


唇には全く力みが入っていないと思います。

そのリラックスした状態の唇で「Sーーーー」と息を吐いてください。
 

そしてもう1つ。

吐き始めから終りまで、同じエネルギー(同じ息の量、同じ太さ、同じスピード)で安定した息を吐くことです。

まるで、金太郎あめのように。

だんだん強い息になったり、始めだけ強くてすぐに緩んだり、という息にならないように意識してくださいね。
 

ここまでのポイントをまとめます。

・音は、低音域・中音域を丁寧に行うこと。
・息を吐くとき、唇に力を入れない。
・安定した息を吐くこと。

 

それでは、ようやく本題に入ります。

「息を吐く・発声する」をセットにして、次の2つのトレーニングを行います。

・前屈で行う
・壁に背面をつけて行う
 

一つ目から説明していきますね。

前屈で行う

これは、まず肩幅よりも足を開き、体を倒して前屈の体勢になります。

頭と腕をだらんとしたままで、「息を吐く・発声する」のセットを行うという方法です。
 

確認ですが「息を吐く」のは、「発声」で息の流れを促すためのリハーサルのようなものでしたね。

そして、さらに前屈の体勢になることで、「吸って・吐いて」の息の使われ方が、立っているときよりも勝手に増えてくれるという嬉しい効果があるのです。
(前屈では、自然と腹式呼吸になるからです。)

なので「発声」の方には、ダブルの効果があるというわけです。
 

これを行うとき、重要なポイントが2つあります。

・頭を持ち上げないこと(だらんとしたまま!)
・自分の声の聴こえは気にしない
 

喉の力みが強い人は、発声のときにクッと頭が持ち上がってしまいます。

感覚としては1cm前後くらいでしょうか。

そのせいで首に力みが入り、立って歌うときの力みと同じことになってしまうんですね。

別の見方をすれば、自分の力みを瞬時に自覚することができる、とも言えますが。
 

とにかく、頭を下げたまま、だらんとしたまま、を常に意識しましょう。
 

歌い癖や力み具合がどんなものであれ、頭をだらんとしたままで発声できたなら、それらは出る幕がなくなりますよ。

 

・自分の声の聴こえは気にしない

こちらもとても重要なポイントです。

前屈の体勢は、頭が下を向いているので、当然ながら立っているときと同じ声の聴こえにはなりません。

遠くに聴こえる感じ、こもっている感じ、はっきり聴こえない・・・

こんな感じに聴こえるのが正解なのです。
 

むしろ、前屈なのに立って歌うときと同じ声の聴こえだったら要注意!

それは頭が持ち上がって首に力みが入っている証拠だからです。
 

もし仮に、声の聴こえでは判断できなかったとしても・・・

無理にそのまま続ければ、喉が苦しくて歌えなくなってしまうので、どこかの時点で力みに気がつけると思います^^;

ポイントさえ押さえれば、とてもシンプルなのに効果抜群!な方法なのです。

 

効果をまとめるとこんな感じですね。

・息が流れにくいと自覚がある無いに関わらず、前屈の体勢で吐けば、勝手に流れが促される。

・なかなかのクセものだった「喉の力み」も、前屈の体勢になることで「歌いながら緩める」という状態に持っていくことが可能になる。
 

ちなみに、どうしても頭が持ち上がって止められないという場合には、始めのうちは歌い出しで「頭をあえて下に動かす」という動作を入れてください。

意識的に行ってさえいれば、力みは必ず減っていきます^^
 

壁に背面をつけて行う

これはまず、壁の少し前に背中を向けて立ち、そのまま壁にぶつかるまで後ろに下がっていきます。

壁には「お尻」と「背中の一部」が付いていますね。

「頭」と「かかと」に関しては、姿勢によって壁に付く人と付かない人がいます。
 

かかとが壁に付く人はそのまま、付かない人もそのままでOK。
 

頭が壁に付く人はそのまま、付かない人は壁と頭の間にタオルを挟んでください。

顎が上がらず、かつ目線が正面になるようにタオルの厚みで調整します。
 

こちらは、「前屈」 から続けて行うのが理想です。

前屈の体勢で「息を吐く・発声する」を行った後で、ゆっくり体を起こしましょう。

そしてすぐに、壁に背面をつけて「息を吐く・発声をする」を行うという方法をとります。
 

なぜ「前屈」から続けて行った方が良いのか?

それにはちゃんと理由があるのです。
 

冒頭からずっと「力み」を連呼していて申し訳ないですが、、、

せっかく「前屈」で力みなく発声できても、体を起こすと途端に力みが出てしまうことが予想されます。

人によっては、「喉の力み」以外にも肩や腰など、他の部位にも力みが出てしまうのではないでしょうか。
 

それではもったいない!
 

できることなら、「前屈」で力みを緩めた状態を、起きたときにもちゃんと実現したいのです。

そこで、体を起こしてからもなお、力みが出にくい体勢に身を置いてしまおう!というわけです。

壁に背面をつけると、体の動きが制限される。

だから結果的に、自由な動き(癖や力みによる動き)が出にくくなる、というのが狙いです。
 

恐らく、始めは強制された感覚になり、一瞬「やりにくい!」と感じるでしょう。

しかし、そう感じていいのです。

いつものように動けなければ、今の状況でやるしかなくなる。

すると、いつもとは違う感覚の中でちゃんと「息を吐く・発声する」をやれてしまうのです。
 

もしも、「息を吐く」または「発声」で壁から頭・体が離れてしまったら・・・

それは相当に力みが強いということです。

壁に体を押し付ける必要はないですが、離れるたびに頭や体を元に戻すようにしてください。
 



実際に行ってみると、どうでしょうか?

やりにくい!と感じるのは始めだけで、実のところ声の出しやすさを感じていませんか?
 

この方法は、ただ単に体の動きを制限しているだけではありません。
 

体が自由に動けないがゆえに、本当に必要な部分が働き出す・・・

というより、働かざるを得ない!という状態になる・・・
 

つまりは、歌うための「体の支え」を増やす、という効果があるということです。

慣れてきたらきっと、腹部や背面の身体の踏ん張りを察知できてくると思いますよ。
 

ちなみに「息を吐く・発声する」を行うき、発声の方は気楽な感じで声を出すのがいいです。

発声のときに、声を出しながら息を感じようとして、変に複雑な感覚にする必要は全くありません。

歌いやすいな、声が進みやすいな、という体感がくればそれで十分!

 

応用編としては・・・

この練習方法で少し変化を感じられた人は、何か歌いやすい曲を使って行ってみてください。

例えば、前屈の体勢で1番を歌ったら、体を起こして壁に背面をつけて再び1番を歌ってみる、という感じでやります。

きっと、今までとは違う体感がくるはずですよ^^

 

最後に、声帯について少し触れたいと思います。
 

声の高低は、声帯の長さ・太さ・厚みによってすでに決まっているのです。

ただし、それは身長が高いか低いかの違いと同じこと。
 

身長が高いのに憧れる人もいれば、声が高いのに憧れる人もいます。

でも身体的にはどちらも無理ですよね^^;
 

どのジャンルにしても、原調で歌えたからスゴイなんてことは全くありません!

だからカラオケでは、無理をせずに歌えるキーにすることです。
 

そして地声の限界音域も、高音であれ低音であれ、広げるのは半音ずつ丁寧に、無理なくトライしていってくださいね。

まとめ

これまでのことをまとめておきます。
 

●音域を広げるのに目下必要なこと。
・喉周りの力みを緩める
・そして、息の流れを促すこと

●歌いながら力みを緩める方法が近道。
・前屈で行う(頭はだらんとしたまま!)
・壁に背面をつけて行う(体は離れないように!)

●限界音域は半音ずつトライしよう。
 

少しでも参考になりましたら幸いです。

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