「昔から歌うのが大好き。思い切って声楽をやってみたいけど、初心者でも大丈夫かな?」
「声楽のレッスンに通ってみたいけど、どういう曲をやればいいのかよく分からない…」
ひとたび「声楽」となった途端になんだか気が引ける、大丈夫かな?と心配になるのは、どんなことをするのか想像がつかないから。
今よりもっと情報を知ることができれば、その不安はきっと払拭されると思いますよ。
歌うことが好きで、もっと色々挑戦したいお気持ちがあるって素敵ですよね。
心置きなく挑戦できるように、今から声楽のレッスンについて一緒に紐解いていきましょう。
目次
声楽のレッスンは初心者でも大丈夫?
もちろん、初心者の人が声楽のレッスンを受けるのは全く問題ありません!
どれくらい初心者でも大丈夫かというと・・・
社会人になってからほぼ歌っていない。
カラオケもあまり行かない。
合唱とかもやったことがない。
全く楽譜が読めない。
こういった人でも、声楽のレッスンを受けられるのです。
なぜなら、一人一人にあった方法で、それぞれの進み具合に合わせてレッスンをするからです。
あえて言うなら、必要なのは「歌いたい!」というあなたの想いですね^^
ミュージカルのあの曲を自分も歌ってみたい!
実は憧れがあって、密かに挑戦したいと思っていた自分がいる!
聴くだけじゃなくて実際に歌ってみようかな?
そういったポジティブな気持ち、ワクワクする感覚があればもう十分です。
レッスンではちゃんと基礎から始めるので安心して飛び込んできてください。
声楽の歌手は、マイクを使わずに、広い劇場でも客席の隅々まで響かせる声を出しますよね。
皆さんそのイメージがあるので、「初心者でも声楽をやってみて大丈夫かな?」「やっぱり難しそう…」と思ってしまう人が多いようです。
(私が個人的に受けた印象です。)
ですが、そもそも取り組む内容がなんであれ、どのジャンルにも必ず初心者の人はいるものですよね。
どの道のプロでも、一番最初は初心者だったのですから。
言うまでもなく声楽だって同じことです。
ヨガを始めてみよう、ピアノを習ってみよう、という感覚と同じでいいんですよ。
とにかく声楽のレッスンは、あなたが思うほどに敷居が高いものではありません^^
ただ、中には年齢を気にしてこう思う人もいるでしょう。
「私は初心者の上にもう大人だけど、それでも大丈夫?」と。
なんとなくお気持ちは分かります。
では、声楽を始めるのに年齢は関係するのでしょうか?
声楽のレッスンを大人で始めるには?
もう大人だから…もう何歳だから… そう思っているとしたら、それも全く気にする必要はありません!
何歳になっても声楽を習い始めることはできるのです。
だから、大人で始めるにあたっての心得なんてものも特にありません^^;
私は普段ヴォイストレーナーをしていますが、最高齢では80代の男性をレッスンしていたことがあります。
ひとつのことをやるのに多少の時間はかかっても、前回より今回、と少しずつですがちゃんと前に進んでおられました。
何歳であっても、体の使い方や声の出し方は上達するのです。
歌うのに年齢は関係ないなあとつくづく思いわせてくれます。
ちょっと極端な例を挙げましたが、とにかくレッスンでの年齢の幅は本当に広いですよ。
ところで、私はレッスンの始めにこのようなご質問を受けることがあります。
「声楽を習えば、大人になっても自分の声が変わるのでしょうか?」
「オペラみたいな声を出すことになるのですか?」
この疑問を持たれる人も割といらっしゃるようです。
実際のところはどうなのでしょうか?
声楽は普通と違う声を出すの?
一般的に「声楽」と聞くと、すぐにオペラをイメージする人が多いようです。
私自身も、学生のときに「音大の声楽科で勉強しています」と話すと、よく同じポーズを向けられたものです。
(両手を握ってア〜とオペラ風に歌う、あのポーズです。)
でも実のところ、声楽=オペラというわけではないんですね。
確かに、ジャンルとしてはクラシックです。
でもさらに細かく見ていけば、オペラの他にも、オーケストラと歌う楽曲や、ピアノ伴奏で歌う歌曲などのように、コンサート形式で歌う演奏も色々とあるのです。
例えばドイツの音大では、声楽の中でもオペラ科・リート(歌曲)科・教会音楽科・古楽科といった具合に、さらに分けられているんですよ。
ですので、あなたが声楽を習ったら、レッスンでいきなりオペラのような声を求められる、なんてことはありません。
(オペラ歌手の歌声は日々の鍛錬によって獲得したもので、そもそも短期間で身につくものではないです^^;)
もしあなたが「このアリア(オペラの中のソロ曲)を歌いたい!」というご希望があるなら、もちろんその曲をいずれはレッスンしてもらえます。
でも間違っても「オペラっぽい声で」なんて要求されることはありません。
あなたの声(あなたの声帯)そのままに、声楽の基礎を取り組んでいきます。
ちなみに「あの大好きなミュージカルの曲を歌いたい!」というご希望がある人でも同じです。
声を変に作ったり、何かに似せたりするのではなく、本来のあなたの声で歌えるようにしていく、ということです。
では実際に、声楽レッスンではどんなことをするのでしょう?
声楽の基礎とは?
声楽のレッスンは、始めから曲を歌っていくようなことはしません。
まず最初は「発声」から行っていきます。
この「発声」をする中で、歌うための基礎を身につけていくからです。
この基礎とは、「体を使って声を出す」ことに要約されます。
なのでレッスンを始めると、きっとあなたも、発声しながら体の感覚に意識を向ける(向けざるを得ない)という自分になっていくでしょう。
体を使って歌えると、まず「息のコントロール」がしやすくなることが挙げられます。
そうすると強弱をつけやすくなる、しっかり音程が取れる、歌詞の発音しやすくなる、ということにも繋がっていくんですね。
もしかしたら、いきなり「よし、体を使おう!」と思っても、始めは体が反応しにくいかもしれません。
ですが取り組んでいくと、誰にでも必ず変化が出てくるものです。
そして、その変化に比例して声の出しやすさも実感していけるはずですよ^^
ちゃんとした土台(発声の基礎)があると、その上に立てる家(技術、テクニック)も安定して身に付いてく、ということです。
そういうことで、まずは基礎からなので、あなたがずっと歌いたいと思っていた曲をすぐにはレッスンで使ってもらえないかもしれません。
でもガッカリしないでくださいね。
ある程度の基礎をやってからの方が、その曲への取り組みがより深まることになり、結果として上達への近道になるのですから。
もちろん、歌に必要なのは技術だけではありません。
同時に、音楽的な表現もとても大切な要素ではあります。
ですが、いくらあなたが「こう表現したい!」「こう歌いたい!」という思いがあったとしても、技術(テクニック)が伴わなければ、残念ながらその表現は形にはならないのです。
本人は感情表現したつもりでも、聴き手には伝わらない…
または本人も思ったように歌えていないという感覚になる…
この状態を、馬車に例えてみると分かりやすいです。
右の車輪(技術)、左の車輪(表現)の両輪で、馬車がスムーズに進むのです。
もし右の車輪(技術)が遅く回転して、左の車輪(表現)だけが先走っても、馬車(歌声)はアンバランスで前に進めませんよね。
ですので、やはりちゃんと発声の基礎を作り、その上に技術を積み上げていくことが一番の近道だということです。
声楽の基礎である「体を使って声を出す」という取り組みは、まさに歌うための技術を身につける作業だと言えます。
その基礎の練習について、さらに具体的なお話をしていきましょう。
基礎にはどんな教材があるの?
声楽のレッスンでは、ただ発声練習だけをひたすら行うのではありません。
ちゃんと基礎の練習としての教材があるのです。
ここでは、声楽を習う人なら誰もが知っている、誰もが使ったことがあるというものをご紹介していきます。
コンコーネ50番
最も一般的なものは「コンコーネ50番」という楽譜になります。
声楽を習う人はほぼ必ず使っているのではないでしょうか。
コンコーネ50番とは、練習曲が50曲入っているという意味ですね。
大体の人は中声用を使うと思いますが、他にも高声用と低声用に移調したものもあります。
コンコーネには歌詞が付いていないので、階名(ドレミ)や母音などの発音で歌うことになります。
練習用に作曲されていますから、その旋律(メロディー)を歌うことで、自ずと技術的な練習へと繋がっていくんですね。
見た目はシンプルなのですが、歌ってみるとなかなか大変だったりします^^;
どんなものなのか、ぜひ楽しみながら挑戦してみてください。
イタリア歌曲集
コンコーネという練習曲では、発声の基礎である「体を使って声を出す」ことを練習するんでしたね。
さらには、歌詞が付いた簡単なクラシック曲でも、発声の基礎に沿って歌うことを実践していきます。
そのときに最もよく使用するのが「イタリア歌曲集」になります。
こちらもコンコーネと同じく、まさに声楽を始めるときの導入の教材と言えるでしょう。
「歌曲集」と付いてはいますが、実のところ、古典オペラの曲も色々と入っているんですよ。
楽譜を開き、曲名のすぐ下に「Aria(アリア)」または「Arietta(アリエッタ)」とあるものがそうです。
また、CMなどで聴いたことのある曲も入っているので、すでに耳で知っていた曲に出会えるのも楽しみのひとつですね。
大抵は声楽の先生が、その人の状態に応じて選曲してくれると思います。
ですが中には、自分で選んでくるようにと指導される場合もあるかもしれません。
参考までに、最初の段階で取り組むといいオススメの曲を何曲か挙げてみます。
・Star vicino(側にいることは)
・Tu lo sai(あなたは知っている)
・Nel cor piu non mi sento(もはや私の心には感じない)
・Caro mio ben(いとしい女よ)
選曲の基準は、基礎の練習として、つまり学習用としての曲です。
学びが進んでいけば、よりあなたの声に合った選曲を先生がしてくれることと思います。
ちなみにイタリア語に関しては、楽譜の後ろに発音の表やアクセントの注意点が載っているので、まずはそちらを参考にしてみてください。
そして、できれば単語1つひとつの意味も調べて、全体の内容を把握した上で歌うようにしましょう。
歌詞の対訳も、楽譜の後ろに全曲分があります。
ここまで、コンコーネとイタリア歌曲集について簡単に解説しました。
もしあなたがミュージカルの曲をレッスンしたければ、そのように先生に伝えればいいので安心してくださいね。
発声の基礎を練習し、そしてミュージカルの曲にも挑戦していけばいいのです。
ただ、ものは試しにコンコーネやイタリア歌曲集を練習してみるのもオススメですよ。
その後でミュージカルや他のジャンルを歌ってみると、あなたの技術力が上がっているので、それらの曲が以前よりもずっと歌いやすくなりますから!
では、レッスンに通ったらどれくらいで歌えるようになるのでしょう?
上達するまでの期間は?
大体の目安として知りたい場合のために、曲をある程度まで歌える(仕上げる)までの期間、という意味で見てみましょう。
例えば、イタリア歌曲集の1曲であれば、月2回のレッスンなら3ヶ月くらいでしょうか。
人によっては半年くらいじっくりと時間をかけて練習する場合もあります。
もしも難しいオペラの曲であれば、もっと時間を要します。
歌としてちゃんとした形に作り上げるには、月2回のレッスンでしたら半年〜1年くらいかけた方が安心です。
(月4回のレッスンならもっと短くなると思います。)
個人差もあるので、これはあくまで目安として見てくださいね。
ですがこれは、歌えるようになったらその曲はもう終了、とうことではありません。
またしばらく経って、さらに上達してから改めて歌ってみると、当初よりも歌い心地が変わってくるのです。
以前は歌いにくかった部分がスムーズになったり、表現がしやすくなったり。
一方で、さらに上達した今の時点で見えてくる、新たな課題というのも出てきます。
こう見ると、厳密に言えば「上達する」ことに終着点はないのですよね。
練習を積み重ねれば、どんどん成長していけるのですから。
そこが楽しい部分であり、まさに歌うことの醍醐味です。
まとめ
最後にこれまでのことをまとめておきます。
・声楽のレッスンは、初心者でも安心して始められる。
・声楽を始めるのに年齢も関係ない。
・声楽の基礎はまず、発声で「体を使って声を出す」こと。
・基礎の練習教材はコンコーネ、イタリア歌曲集がある。
ぜひ新しい挑戦を楽しんでいってください!
コメント
Thank you!!1
コメントありがとうございます。
ぜひ楽しみながら歌っていってください!