ミックスボイスの簡単な出し方はある?その疑問を解決!

歌声の出し方

「地声と裏声の差が激しい… ミックスボイスを出せたら差がなくなるのかな?」

「地声感を残したまま高音を出すには、ミックスボイスで声帯閉鎖を強めればいいのだろうか?」

「ミックスボイスを練習してるけど、他にもっと簡単な方法はないのかな?」
 

あなたも、このような思いをされているのでしょうか?

実は「ミックスボイス」という言葉にはカラクリがあるのです。

歌の上達のカギは、まずそれを知ることから始まります。

今からそのカラクリを知り、これらの疑問を解決していきませんか?

目次

ミックスボイスの簡単な出し方はある?

単刀直入にはっきり申しますと・・・

ミックスボイスの簡単な出し方はないのです。

ごめんなさい!
 

簡単か?難しいか?というお話の前に、そもそもミックスボイスという言葉を、この世の中で明確に定義できる人はいるのでしょうか?

あなたは、これだ!と思える説明にたどり着けましたか?
 

実は、「ミックスボイス」は2000年代に入った頃から普及し始めた言葉なのだそうです。

それより以前は、稀に一部のトレーナーや歌い手が使っていた程度で、一般の人には知られていなかったとか。

ということは、ポップスを中心に世間で使われている「ミックスボイス」という言葉は、本当にごく最近のものだということです。

しかも、その言葉はいくつかの意味合いを持ってしまっている…

人によっても判断が違っている…
 

平たく言えば、それは声の印象や雰囲気に基づいて使われている言葉なのです。

印象に基づくのですから、声の判断も曖昧になってしまいますよね。

いろんな主張かある中でどんなに調べても、あなたが求めている練習方法にたどり着くのは困難でしょう。
 

今ここで誰かの主張を否定したいのではありません。

ただ、それらの主張にあなたが振り回される必要はない、ということです。
 

ちなみに私は(合唱をやっていたので)子供の頃からポップスや声楽の方たちに接してきたのですが、「ミックスボイス」は一度も聞いたことがありませんでした。

その後、音大の声楽科に行きヨーロッパへ留学した中で、日本でも海外でも一度も「ミックスボイス」のミの字も耳にしませんでしたよ。

もちろん、留学も2000年以降の話です。

今現在はヴォイストレーナーをしており、ポップスを含めいろんなジャンルの方に接しています。

どのジャンルであれ「ミックスボイス」という概念がなくてもちゃんと上達しているという事実がある、とお伝えしたいです。
 

では、これからあなたは何を求めていけばいいのでしょう?

ミックスボイスの出し方のコツは?

一般的に「ミックスボイス」が指すものは、大まかに2つあるようです。

分かりやすく言うとこんな感じです。

・地声も裏声も滑らかに繋いで歌える声
・高音域も地声かのように歌える声
 

このどちらも、歌が上達したい人にとっては習得したい魅力あるものですよね。

だって、もし歌っているときに、突然あなたの声色がまるでオセロをひっくり返したかのように地声、裏声、と切り替わってはとても歌いづらい…

聴き手(お客)にとっても聴きにくい…
 

その切り替わってしまう境目を、もっと滑らかに繋ぎたい!

1曲の中で、どの音域も安定した声で歌いたい!
 

と思いますよね。

だったら、そうなるように練習すればいいだけの話です。

声の印象や雰囲気に基づいた用語に何やら迷う、そして混乱する…なんて時間はいりません。
 

つまりコツは、「ミックスボイス」という名の声を探さないこと。

あなたの感覚で、あなたが納得する声を求めていくのです。

 

歌うとは、自分の体が楽器のようなもの。

その楽器は、体型や持っている声帯によって一人ひとり違いますよね。

だから他人の感覚がこうだった、こうしたらミックスボイスが出た、というものがあなたに当てはまるわけではありません。

そもそも、ミックスボイスが出たと言うその声も、その人の主観でしかないのですから。

先ほど挙げた2つ、

・地声も裏声も滑らかに繋いで歌える声
・高音域も地声かのように歌える声

これをあなたの感覚を基準に求めていく、ということです。
 

それでは早速、具体的な話に入っていきましょう。
 

地声と裏声を滑らかに繋ぐには?

換声点とは

今までに、換声点(かんせいてん)という言葉を聞いたことはありますか?

「換声点」とは、地声と裏声が切り替わる境目のことです。
 

もしこの言葉を知っていなくても、体感としては知っていたりするものです。

同じ音(付近)で急に裏声になって声が弱々しくなる…

音が上がっていくと急に歌いづい地点がくる…
 

といった感覚のときがそうです。

換声点という言葉に「点」が入っているので、ついつい、その一点(1音)が境目だ!と誤解してしまいそうですが・・・

声が切り替わる境目はピンポイントにこの音です、とは言えないものなのです。
 

切り替わる声域があり、その声域がどの音の付近なのかも人によります。

さらに、歌いにくい曲を歌って力みが増えたりすると、本来の換声点よりも手前で切り替わってしまうこともあるのです。
 

歌うときに、この換声点をスムーズに行き来できたら嬉しいですよね。

だったら、換声点の付近を徹底して練習すればいいのでは?

という考えに及びそうですが、実はそれだと遠回りなんです。

地声と裏声の差が激しい人は、そうなる理由が換声点だけのせいではないからです。
 

地声での発声と、裏声での発声の違いにも差があるから、結果として声の境目でも差が大きい(声の段差が大きい)ということなのです。

なので細かく分けずに、地声も裏声も声の境目もトータルで見ていくことが必要になります。
 

もし今、換声点だけに集中した何かの練習をしているなら(それの効果が薄いのなら)、その練習はいったん中断した方が無難です。
 

声帯閉鎖(の誤解)について

ミックスボイスの出し方を探し求めていると、「声帯閉鎖」という言葉が頻繁に出てきませんか?

例えば、こちらの説明のように。

”ファルセットを出して、声帯閉鎖して、喉を開ける”

”裏声をエッジボイスで出して、少し息を混ぜる”
 

エッジボイスも声帯閉鎖を促しての表現のようです。

この言葉によって、とても大きな誤解が生じているのでご注意ください。
 

まず声帯とは、左右2本のヒダでできており、喉の奥にある小さな筋肉です。

黙っているとき・息を吸うときは、声帯が開いている。

声を出すとき・歌うときは、声帯が閉まる。
 

ただし、歌っている最中に、声帯が閉まったままずっと動かないわけではありません!

肺から送られた空気が声帯を通って声が出るとき、2本のヒダは振動しているのです。

とても小さい動きでしょうけど、開いたり閉まったりというヒダの振動があるから声が出る、ということです。

もし声帯を閉鎖したままだったとしたら、声は全く出ません。
 

ここで何か気がつきませんか?
 

そう。

わざわざ「声帯を閉鎖する」と指摘されなくても、ひとたび声を発した時点であなたの声帯は必ず閉まるのです。(その後で振動します。)

それなのに、さらに「声帯を閉めよう」という意図的なアプローチをしたらどうなるでしょう?

本来必要のない余計な力みが喉に入ってしまい、逆にヒダの振動を妨げかねません。
 

いずれにしても、実際に歌っている間ずっと「声帯を閉鎖する」と意識し続けるなんて、かなり無理のある話です。

そもそも、私たちは意識しただけで「声帯を閉鎖する」という動きは起こせないのです。

声帯がかゆいとか痛いとかの感覚も分からないし、今ちょっと閉めよう、緩めよう、と思っても無理なんですね。

息が流れて、何かしらの音声が出たとき(声を出そうとしたとき)、やっと声帯が閉まるものだからです。
 

とにかく、今まで「声帯を閉鎖する」と思って練習していたとしたら、その感覚をリセットしましょう(その力みをなくしましょう)。

 

もうひとつ、”少し息を混ぜる”という表現にも触れたいと思います。

声を出す・歌うときは、吐く息の流れに乗って声が前に出ていきます。

息を混ぜるも何も、始めから「息」があるから「声」が出るのです!

言い換えると、「息」がなければ「声」は一切出ません。
 

もしも息と声を別々に捉えていたなら、今日を境に概念を切り替えましょう。
 

(ちなみに、息を増やす、息を多く流す、という説明のものならOKですよ。
ポップスでは、多く息を流すことで声を特徴づけ、それを表現のひとつとしていますので。)
 

声の区分:男女の違い

ポップス系統では、◯◯ボイスといろんな声の名称が使われています。

ですが、ここでは細かいことは割愛して、一般的に言われている声の区分を挙げてみます。

・地声(実声) ー頭声(ヘッドボイス)
ー胸声(チェストボイス)

・裏声(ファルセット)

 

女性は頭声の音域が広いので、歌うときに裏声を使うことはありません。

女性で裏声っぽい声のときは、恐らく・・・

声に響きが乗っていないとか、息が前に進んでいない、又は後ろに引くような声になっている、といった理由からそう聴こえるのでしょう。
 

ですので本来、「裏声」は主に男性が使うということです。

先ほど換声点とは で、声が切り替わる境目はピンポイントにこの音とは言えない、切り替わる声域がある、とお伝えしました。

このように地声と裏声の音域は、この1音を境にきちんと区分けされている、というものではないんですね。
 

地声の音域と、裏声の音域は、重なる部分があるのです。
 

この重なる部分の範囲を、換声点(声が切り替わる境目)と呼んでいるわけです。

地声と裏声の音域がオーバラップしているのだから、男性はどちらの声を使うかを選択することになります。

もしあなたが、自然と出しやすい方に使い分けたなら、地声と裏声を滑らかに繋ぐことが実現する、ということです。
(練習方法は後ほど出てきます。)

 

補足ですが、男性の頭声は音域が人によってさまざまです。

例えば声が低い人は、頭声の音域がもともと狭いか、もしくは今まで使ってなかったのか、どちらにしても狭い場合が多いです。

声が高い男性でも、今まで頭声を使っていなかったという人もいます。

(人さまざまなのと、内容もズレるのでここでは議論を避けます。)

 

ちなみに声楽では、声の区分は胸声、中声、頭声、ファルセット、の4つが一般的です。
(ファルセットは男性だけです。)

だから私は、ヴォイストレーナーをするまでは、地声・裏声という言葉を全く使っていませんでした。

むしろ、「地声」と言ったら喉声のことを指していたという印象があります。
 

さらには、声楽指導者や音声学者のような方たちの間では、本来の人間の声区(声の区分、声の分け方)はいくつあるのか?と議論されてきた部分でもあるのです。

このように、ポップス系統のみならず、それより歴史のある声楽の分野でも、声の区分について解釈が違っていたりする・・・
 

そうなると、もはやミックスボイスを含め〇〇ボイス、〇〇ボイス…といちいち声の名前を気にするのはあまり意味をなさない、ということです。

本当に、声の区分をあれこれ細分化しても、結局はあなたが混乱するだけ。
 

繰り返しになりますが、ミックスボイス(や他の◯◯ボイス)を探さないこと!

あなたの感覚で、あなたが納得する声を求めていくのです。
 

そのためには、どんな練習が効果的でしょうか?
 

どの音域も安定した声で歌う練習

再びおさらいですが、ミックスボイスと言いながらも実際に求めているのは、こちらのような声でしたよね?

・地声も裏声も滑らかに繋いで歌える声
・高音域も地声かのように歌える声
 

それをさらに噛み砕いて言うと、こうです。

低音から高音まで、どの音域も同じ声色(同じ響きの乗った声)で歌えたら・・・

ひとつのラインで繋がっているかのように歌えたら・・・
 

そんな理想の状態に向かっていくために、これから以下の練習方法をご紹介します。

・子音Zを活用しよう!
・子音Zを使う発声練習
・子音Nを使う発声練習
 

それではひとつ目から説明していきますね。
 

子音Zを活用しよう!

まずは分かりやすいように、子音Sから入りたいと思います。

子音Sは無声、子音Zは有声という違いはあるものの、息を吐くときの感覚はほぼ同じなんですね。

ですので、子音Sの感覚を得てからの方が、子音Zを捉えやすくなるというわけです。
 

まず、圧をかけてスーーッと安定した息を吐きます。

安定した息とは、同じエネルギー(同じ息の量、同じ強さ)の息のことです。

吐きながらだんだん強くなったり、弱くなったりしないように!
 

また「ス(Su)」という発音は、母音ウの口になり、口周りに力みが入りやすくなります。

なので、正確には子音Sだけで、Sーーーーッと吐いてください。


 

唇はすぼめずに、横にも引っ張らずに、そのままのリラックスした状態です。
(口を閉じているときの唇と同じです。)
 

息の音は、ただ聴こえていればいいのではありません。

かなりしっかり目に、うるさいと感じるくらいの息を吐いてください。
 

今実際に、3秒くらいを目安にブレス(息継ぎ)をして、何度も繰り返してみましょう。
(3秒より長くてもいいです。)


 
Sーー(3秒)ーーッ Sーー(3秒)ーーッ

Sーー(3秒)ーーッ Sーー(3秒)ーーッ



安定した息で吐けていたでしょうか?

しつこいですが、しっかり目に(強いと感じるくらいに)息を吐きましょう。

もし3秒毎にブレスをすると息が余ってしまう感じであれば、吐く息が足りない(又は弱い)と思われます。

 

子音Sで安定した息を吐けたら、全く同じ吐き方のままで、子音Zを発音します。

つまり、圧をかけて、安定した息を吐く感覚で、唇はリラックス(すぼめず、引っ張らず)した状態で、子音Zを出す、ということです。

やりやすい声の高さで、子音Zを安定して伸ばしてみましょう。

Zーーーーーッ という感じに。


 

言葉で言うのは簡単ですが、普段はやらない発音なのでやりにくい人がいるかもしれません。

その場合は、まず短めに子音Zを発音してみるといいです。

Zッ Zッ Zッ とスタッカートのように短くすると、子音Zが言いやすくなりませんか?

そこから徐々に、子音Zを伸ばしていくといいですよ。
以下のような感じで、実際にやってみましょう。

Zッ とスタッカートのように。


 

Zーッ と短めに。


 

Zーーーッ と長めに。

 

どうでしたか?

子音Zを伸ばすと、摩擦や振動によって耳の奥がむずがゆい感じになる人もいるようです。

ですが喉が痛くなることはないので、もし喉に負担がくる人は余計な力みが入っていると認識してください。
 

また子音Zが続かない人は、途中で子音が消えて、ウーと声だけになってしまいます。
(ダメな例です↓)

 

なぜ、声(ウー)だけになるのでしょう?
 

それは、吐く息が足りなくなった(弱くなった)からなのです。

言い換えると、安定した息を吐き続けなければ、子音Zを維持できない、ということです。

すぐに出来なくても、やり慣れることも必要ですので何日か続けて試してみてください。
 

・・・

ここまでやってみた時点で、もしあまりにも出来ない、喉が痛くなる、何だかよく分からない、という場合には無理にやらないでください。

吐く息が弱い、体が使えていない、などが考えられるので以下を参考にしてください。
腹式呼吸で歌が上手くなる?腹式で歌いながら練習する方法!
 

子音Zを使った発声練習

子音Zを「Zーーーーッ」と安定して発音できたら、ようやく子音Zに音程をつけて発声練習します。
 

(1)単音(1つの音)を伸ばす

まずはシンプルに、音を動かさず、1つの音で子音Zを安定して伸ばす練習です。

早速、音程をつけてやってみましょう。
(やりやすい音でOKです。)

(音)ドーーーーーーー
(発音)Zーーーーーーー

(音)レーーーーーーー
(発音)Zーーーーーーー



どうでしょうか?

繰り返しになりますが、子音Zが続かなくなるとウーと声だけになってしまいます。

そうなるのは、吐く息が足りなくなる(弱くなる)からでしたね。

そんなときは、子音Sのときと同じ感覚でしっかり息を吐き、子音Zを維持するよう意識してくだくさい。

 

(2)ある程度の音型で行う

単音で子音Zを安定して伸ばせる人は、音を動かしてみましょう。

たとえ音が動いても、子音Zは安定して、滑らかに繋いでいきます!
 

(その1)
まずはやりやすい音域で練習してください。

音型の例をいくつか挙げておきます。
(下にいくほど難易度があがります。)

音:ミーレードー
発音:Zーーーーー

音:ミーレードーレードー
発音:Zーーーーーーーーー

音:ソーファーミーレードー
発音:Zーーーーーーーーーー

音:ドーレードーミードー
発音:Zーーーーーーーーー

 

確認ですが、もし子音Zが消えて、ウーと声だけになってしまったら・・・

それは、吐く息が足りなくなった(弱くなった)せいでしたね。

弱まらないように、しっかり息を送り続けましょう。
 

またよくあるのは、音程を取ろうとして、子音Zが途切れ途切れになることです。

Zーーーに階段ができてしまうのです。

音が動いても、子音Zは1つのラインのように、階段ができないよう滑らかなZーーーを求めてください。
 

・・・

ここまで実際にやってみて、気づいたとはありませんか?

子音Zで息が足りなくなる(弱くなる)ときは、ちゃんと自分自身で、オンタイムで気づける、ということです。

普通に歌うときには分からなくとも、子音Zだったら息が減りそうになるのをちゃんと察知できるなんて、実は凄いことですよ!

 

(その2)
上記の音型を使い、低音〜中音〜高音の音域を行き来したいので、音階練習(半音ずつ上がる・下がる)をしてください。

音が上がっていくと、必ずあなたの歌いにくいエリア、つまり換声点がきますよね。

地声と裏声を滑らかに繋ぐ、という本題の練習に入ったというわけです。

ですがあまり音を気にせずに取り組んでください。
 

なぜなら・・・

子音Zをちゃんと維持できていれば、今までのように急にポジションが変わるという状態にはならないからです。
 

歌では、高い声を出すとき・低い声を出すときの息の速度(スピード)は同じではなく、変わるものなのです。

音が高くなるほどに、息のスピードが増します。

一方、低い音になるとスピードが減ります。
 

ただし、どの音域であっても「安定した息」であること。

これはつまり、音の高さに見合った息のコントロールが必要になる、ということです。
 

息のコントロールと聞くと複雑に思えてきそうですが、、、大丈夫です。

子音Zで歌うことで、息をコントロールすることを助けてもらえるからです!

声の切り替わる境目(換声点)では、歌いにくくて息の流れも不安定になっていました。

その不安定さは、子音Zが消えてウーと声だけになってしまう、という状態となって現われるのです。

だから、あなたは「子音Zを安定して滑らかに繋げる」ということに集中することで、結果として息のコントロールをしている、と言えるわけです。

 

(3)子音Zで曲を歌う

発声練習で安定して、そして滑らかに子音Zを繋げた人は、ぜひ曲を使って実践してみましょう。

ただし、あまりに高音が入って大変な曲ではなく、すでに歌える曲を選んでください。
 

曲を歌うときでも、安定した息で子音Zを滑らかに繋ぐことは全く同じです。

いろんなリズムや音程に左右されずに、子音Zを滑らかに繋げること。

もし子音Zが言いにくくなる、弱まる、消えてしまうときは、息が減ってしまったというサインです。

子音Zをしっかり発音することに意識を向け直してください!

それでちゃんと子音Zが復活すればOKです。
 

もし子音Zが元に戻らない場合は、力みが強過ぎるということです。

そのようなときは、一旦止めて、力んでしまった喉周りをリラックスさせましょう。
 

実は単音よりも、音が動く音型の方が、さらに曲を歌う方が、「息が減りそう、子音Zが消えそう、子音Zの安定感が減る」といったような感覚をしっかり察知しやすいのです。

そして曲を歌ってみた方が、音が高くなるほどに息の速度が増す(息のエネルギーが必要である)ということが実感できると思います。

子音Zで歌うとはつまり、「息で音程をとっている(=音高差に必要な息を吐いている)」ようなものだと言い換えることができます。
 

・・・

さて、曲を使って子音Zを滑らかに繋いで歌えた人は、ぜひ、その直後に歌詞をつけて歌ってみてください。

声が進みやすい、大変だった部分が楽になる、声がしっかり出る感じがする・・・etc.

といった体感がくるはずです。
 

とにかく子音Zのお陰で息が安定し、歌いやすくなるということです。

子音Zでの練習が身に付けば、どのジャンルの歌にも応用させることができますよ^^
 

子音Nを使った発声練習

もし子音Zに手こずってしまっている人は、先に子音Nの方に取り組んでみてください。

子音Zと同じく、子音Nも有声子音です。

とはいえ、子音Zとはタイプが違うので、もちろん母音を組み合わせた発音で行います。
 

まずは分かりやすく、「ナ」でいきましょう。
(もちろん「ネ」「ノ」などでもOKです。)

音型は何でもいいので、全部の音を「ナ」の発音をつけて発声練習していきます。
 

例えばこんな感じで。

音:ソーファーミ―レードー
発音: ナーナーナーナーナー
 

このとき、「ナ」の発音の仕方にポイントがあります。

それは、子音Nを長めに発音することです!

ただし、気合が入って音が途切れたりしないよう、子音Nを長めに、そして音はレガート(滑らかに)を意識しましょう。
 

実際にやってみると、半分くらいは子音Nになると思います。

その発音は、こんな感じに聴こえるはずです。

音:ソーファーミ―レードー
発音:ナン―ナン―ナン―ナン―ナ―
 

まずは出しやすい音域でやってみて、子音Nを長めに発音する感じを掴みましょう。

大げさなくらいに子音Nを長く発音してくださいね。

(ナンnnnナンnnnナンnnn〜 これくらいの感じで。)
 

発音に慣れてきたら、音階練習(半音ずつ上がる・下がる)を行ってみましょう。




どうでしたか?

低音も中音も高音も、子音Nを長めに発音できていましたか?
 

これは、音域が移動しても換声点でも常に「子音N」を基準に発声していた、ということですよね。

どの音であろうと、子音Nを長めに発音すること!

これを意識しながら。
 

それが結果として、音域の移動に合わせて息をコントロールする、ということをやっていたのです。
 

子音Zのところで、音の高さによって息の速度が変わるとお話しましたね。

どの音でも、音域を行き来していても、子音Nを長めに維持できている・・・

実はそれは、子音Nの発音ができる状態を保つために(勝手に)息を調整していたから!
 

そしてまた、子音Nはもともと鼻にかからないと発音できない子音です。

だから、必然的に声に響きが乗る(響きが集る)ということになります。
 

子音Nを長めに発音することを、どの音域でも維持できたなら・・・

それはつまり、ひとつのラインのように、どの音も響きのある声で繋がれているということ。

なのであなたの声色が、オセロをひっくり返したように地声と裏声が切り替わることはなくなるわけです。

 

最後に補足します。

何でも言葉で言うのは簡単ですが、実際にそれを実現するのは一日にしてならず。

何かを身につけるとき、練習を積み重ねていくのは当たり前のことですよね。

これまで説明した練習は、すでに基礎がある程度なければ取り組みは難しい部分があります。

土台が不安定なのに、その上に何かを積み上げるのは…どうでしょう?
 

残念ながら、私自身があなたの声を伺い知ることはできません^^;

ですので、もし(子音Zを)試してみて喉に負担を感じる、余計に声が出しにくい、となる人は無理に進めず、そして焦らずに基礎に立ち返りましょう。

まとめ

これまでのことをまとめておきます。
 

・声の名前にこだわらないこと。

・自分の感覚で、自分が納得する声を求めていくこと。

・地声も裏声も滑らかに繋いで歌える声は、有声子音(Z、N)を活用しよう!

・音の高さによって息の速度が変わる。

・有声子音で、息をコントロールする感覚を身につけよう!
 

ぜひ変化を楽しみながら練習てください^^

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