腹式呼吸で歌が上手くなる?腹式で歌いながら練習する方法!

歌声の出し方

歌が上手くなりたいと思って検索すると、必ず「腹式呼吸」という言葉に出会いますよね?

「腹式呼吸の練習をやれば歌が上手くなれるかも」

「歌のために、まずは腹式呼吸をマスターしよう!」

「腹式呼吸のために腹筋も鍛えるといいらしい」
 

だから、こんな風に思ってしまうのも無理はありません。

ですがその捉え方だと、実は歌の上達にはとても遠回りなのです。
 

では一体、何をどうしたらいいのか?

これからその詳細をお伝えしていきましょう。

目次

腹式呼吸で歌が上手くなる?

実のところ、ただ腹式呼吸をするだけでは、あなたの「歌」には変化を見込めないのです。

結論を言ってしまうと・・・
 

腹式呼吸をする=歌が上手くなる

ではないんですね。
 

腹式呼吸の練習をしたら、自動的に歌うときの息がコントロールできるなんて、そんな都合のいいことは起こらないのです。

なぜなら、腹式で呼吸するときと、腹式で歌うときでは筋肉の使い方が違うから。

歌うときに必要な筋肉は、歌っていく中で鍛えることができるものなのです。
 

例えば、高音を歌うときの体感がどんなものか?

腹式呼吸で息を吐いている最中にうかがい知ることはできませんよね。

その体感は、実際に歌ったときにしか分からないのです。
 

言うまでもなく、「歌」は呼吸する・話すときよりずっとエネルギーを必要とするんです。
 

ちなみに、腹式呼吸のために腹筋を鍛えるという人がいたら、こちらも残念ながら歌にはさほど効果的ではありません。

いわゆる筋トレのような感じで腹筋(腹直筋)を鍛えても、それは単に健康のためのトレーニングです。

またネットによく出てくる、歌に必要な腹斜筋を鍛えるというトレーニングも歌に直結する人は多くないでしょう。
(すでに歌の練習を重ねている人は別として。)

鍛えた途端に、その腹筋が歌うときに必要な働きをしてくれるなんてことは起こりません。

しつこいですが、歌うときに必要な筋肉は、歌っていく中で鍛えることができるものなのです。
 

では一体、腹式で歌うときの筋肉の使い方とはどんなものなのか?

さらに具体的な説明に入っていきましょう。

腹式は横隔膜に注目しよう!

まず練習する前に、腹式呼吸から一歩踏み込んで「横隔膜」に注目していただきます。
 

ところで歌が上手くなるとは、具体的に何を求めているのでしょう?

声がよく出ること、音程が取れること、リズムが取れること、強弱をつけること、表現をつけること・・・etc.

つまり、思いのままに歌えるようになること!
 

それには息をコントロールすることが鍵になるのです。
 

歌声は、肺から送られてきた空気(息)に乗って前に出ていきます。

だからその息が安定しなければ、比例して歌声も安定しない。

息が足りなかったり不安定だと、先ほどの音程やリズムを取るとか強弱をつけるなどもやりにくくなる…

無理矢理できたとしても、喉で頑張ってしまう…
 

ではどうやって息を安定させることができるのか?

そこで注目するのが横隔膜なのです。
 

横隔膜とは、肺の下にある筋肉の膜で、息を吸って肺が膨らむと横隔膜も下に押されます。

そして、歌うときに「横隔膜が下に押された状態」を維持するのです!

これが息の安定につながるんですね。

横隔膜が下がったままだと、肺も膨らんだまま。

だから肺に入った空気が使いやすくなるわけです。
 

ちなみに、あなたの腹式呼吸の練習はどうだったでしょうか?

息を吸ったらお腹が膨らむ(横隔膜が下がる)、息を吐いたらお腹がへこむ(横隔膜が戻る)だったと思います。

でも歌うときは、横隔膜が戻ると息が安定しなくなるのです。

そうです。

腹式で呼吸するときと、腹式で歌うときでは筋肉の使い方が違う、とはこういうことだったのです。

喉を力まず息をコントロールして歌うには、横隔膜が下がったままを維持すること!
 

説明はこれくらいにして、やってみた方が分かります^^

早速トレーニングに入ってみましょう。
 

腹式で歌いながら練習する方法

「横隔膜が下がったまま」を維持する、キープする。

そうは言っても、私たちは横隔膜の感覚を直接的に体感できませんよね。

横隔膜がかゆいとか痛いとか、今下がった!とかが分からない^^;

でも大丈夫なのです。

勝手に維持できる、維持しやすいという体勢になってトレーニングするので!
 

お勧めするのはこの3つの方法です。
・片足で歌う
・スクワットの体勢で歌う
・仰向けでお尻を振る
 

それでは、ひとつ目から解説していきますね。
 

片足で歌う

片足になるときは、前ではなく、後ろに足を上げるようにします。

後ろに上げるのは、上半身が前後に傾かずに真っすぐ立つためですね。

後ろに上げた足は床にギリギリでも、しっかり上げていてもバランスの取りやすい方でOKです。

また、片足はときどき左右の足を替えながら行ってください。
 

人は片足になると、グラグラしないよう勝手にバランスを取り始めませんか?

そうすると、自然と体の重心が踏ん張り出すんですね。

片足で常に踏ん張っている状態の中で歌うので、体が緩まず、勝手に歌うときの体の使い方になるのです。

つまり「横隔膜を下げたまま」を維持できるというわけです。

 

ここで、ひとつポイントがあります。

・片足になるとき、背面に両手の平を当てる
 

この状態で歌ってほしいのです。

背面に手の平を当てるときは、大体ですが肋骨(ろっこつ)の後ろあたりです。

もし分かりにくい人は、まず両脇に手を添えてみてください。

小学生が整列するときに先頭の人がする、あのポーズですね。

さらに親指を軸にして、そのままクルッと手を後ろに回すと、ほどよい位置に手の平が当たりますよ。
 

そして、手の平で察知する動きはこうなります。

・息を吸うとき(背面が広がる、膨らむ)
・歌っているとき(背面が膨らんだまま、へこまない)
 

このように手の平を当てるのには、大きな意味があります。

手からの伝達は、私たちが思う以上に脳が情報をキャッチするんですね。

だから、ただ片足で歌うだけより、手の平を当てて体の動きを感じながら歌う方がダントツに効果的なのです。

 

それでは早速、発声をするか、何か歌いやすい曲を歌ってみましょう。
(片足になり、背面に手の平を当てます。)




歌っているとき、背面が広がる・膨らむ・へこまないで保ったまま、という感じを手の平で確認できましたか?
 

私はヴォイストレーナーをしていますが、この片足のトレーニングでは生徒さんにも同じ質問をしているんです。

そうすると、よくこんな感想が返ってきます。

「バランスを取るのに必死で手の平の感覚は分からなかったです」

「歌に意識が向いていたので分からなかったです」
 

なるほど、お気持ちは分かります^^;

でも意外とその気になれば、手の平に意識を向けられるものですよ。

そして、手の平で体の動きを察知して初めて、ちゃんと体が働いているんだと実感が持てるわけです。
 

手の平で動きを感じられたならば、もうこっちのものです!

片足で歌った後で、すぐに両足で立って歌い、手の平で感じた体の動きを再現してみましょう。

もちろん、両足になると体が働きにくくなる、というのは普通のことです。

だから「片足のときと同じくらいに!」と思いながら、体が緩まないよう、意識的に背面を広げようとしてみてください。
 

もし体が働きにくくなった(背面が緩む)ときは、再び片足になって歌えば大丈夫ですよ。

・息を吸うとき(背面が広がる、膨らむ)
・歌っているとき(背面が膨らんだまま、へこまない)

再び片足になって、この状態をまた復活させればいいのです^^

 

ここで念のため、息を吸う・歌うときの流れを補足しておきます。

(息を吸う)
肺の下部に空気を入れる

肺に空気が入って膨らむ

横隔膜が下に押される

内臓も押される

お腹周り(お腹・脇腹・背面)が広がる (←手の平で動きを察知!)
 

(歌う)
肺の下部から空気が送られる

口から歌声が出る

歌っているとき、横隔膜を戻さず、下がったまま

下に押された内臓も元の位置に戻らずそのまま

広がったお腹周りも元に戻らず(へこまず)そのまま(←手の平で察知!)

 

細かく説明するなら、歌うときに「背面の膨らみがへこまず保ったまま」を手の平で察知できたとき・・・

それは「下に押された内臓が元の位置に戻らずそのまま」を維持している、ということです。

その結果として「横隔膜が下がったまま」を維持する、キープすることができていると言えます。
 

念のため補足しましたが、あまり体の部位を細かく考え過ぎずに!

片足になり手の平で動きを察知する、これをシンプルに練習してください。
 

スクワットの体勢で歌う

まず肩幅より足を開いて立ち、スクワットの体勢になります。

上半身が真っすぐのまま、膝が前に出る感じで上体を下げましょう。

これはスクワットの上下運動をするのではありません。

上体を下げた体勢をキープしたまま歌う、という方法になります。
 

こちらも、体の重心が踏ん張るしかない体勢で歌うので、「片足」のときと同様の効果が期待できます。

ぜひスクワットの体勢になり、背面に手の平を当てて歌ってみてみください。

そして、手の平で体の動きを感じられたらOKです。

スクワットの体勢から、膝を伸ばして真っすぐ立って歌い、同じ体の状態を再現しましょう。
 

もしも、スクワットの体勢が上手く行かない人・喉に力が入る人は、上半身が真っすぐになれていないかもしれません。

膝が内股やがに股になっていないか?

上体を低くし過ぎてお尻が突き出ていないか?

上半身がやや後ろに反っていないか(応援団長になっていないか)?

これらをチェックしてみてください。
 

ちなみに「片足」だとバランスを取るのがかなり大変、グラグラするのがどうしても気になるという人には、「スクワットの体勢」の方が歌いやすいかもしれません。

どちらにしても、体感は人それぞれ。

両方のやり方が効果抜群!という人だってもちろんいます。

練習は自分がやりやすい方、体感を得やすい方法を行えば良いということです。
 

仰向けでお尻を振る

体の感覚や力みの度合いというのは、本当に人さまざまです。

もし喉周りの力みがあまりに強いと、ひょっとしたら前述の2つの方法では太刀打ちできないという場合もあるかもしれません。

もしそうでも焦らずに!

もっともっと、喉周り・体への力みが入りにくい体勢になってしまいます。
 

やり方は、まず仰向けになり、足幅は軽く開きます。

手の平を上に向け、お尻(又は腰)を左右に揺らしながら歌う、という方法を行います。
 

ポイントは2つあります。

・お尻が床から離れないこと。
・上半身は揺らさないこと。
 

これらは力みが入らないためのポイントです。
 

仰向けだと頭の重さがなくなるので、喉周りや首の力みが入りにくくなるんですね。

お尻を左右に揺らすのは、止まったまま歌うよりも、さらに大変な状態に身を置きたいからです。

また左右に動いていることで、止まっているときに入る力みや歌い癖が出にくくなるという効果もあるんですよ。
 

ただ、あまり激しい曲やアップテンポな曲だと息が上がるかもしれないので、それ以外の曲で練習しください^^;

そして、仰向けで歌った後は、起き上がって真っすぐ立ち、背面に手の平を当てて歌ってみましょう。

体調によってはクラクラするので、そのときは無理なさらずに。
 

当然ながら、「片足」や「スクワットの体勢」で良い体感を得た人は「仰向けでお尻を振る」を行っても、効果をしっかりと実感できますよ。

ぜひ試してみてください。

 

ここまで3つの方法をご紹介しましたが、「横隔膜を下げたまま」を維持して歌うとどうでしょうか?

声が進みやすくなった、歌いにくい部分が楽になった、声のボリュームが増した、息が続きやすくなったかも・・・etc.

こういった良い感覚を得られていれば幸いです。

 

最後にもう一度。

歌うときに必要な筋肉や体の働きは、歌っていく中で鍛えることができるものです。

そして練習は一日にしてならず。

繰り返し行うことで身になっていくものですよね。
 

たとえ今日は調子良くて明日はイマイチでもガッカリせずに、根気よく続けてみてください。

練習を重ねるほどに体の働きが反応してくれるようになりますから。

まとめ

最後にこれまでの内容をまとめておきます。
 

・歌うときに必要な筋肉や体の働きは、歌っていく中で鍛えることができる。

・腹式で歌うには「横隔膜を下げたまま」を維持する!

・片足・スクワットの体勢になれば「横隔膜を下げたまま」で歌うことができる。

・喉の強固な力みには「仰向けでお尻を振る」で対処しよう。
 

あなたの練習が歌の上達につながっていきますように^^

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