声がかすれる原因とは?あなたのお悩みを解決!

話し声の出し方

朝は元気な声のに、夕方になると声がかすれてくる、なんてことはありませんか?

私の仕事はヴォイストレーナーなのですが、生徒さんからもよくこんなことを耳にします。

「飲み会や何かの集まりに行ったりすると、途中から声がかすれてくるです…」

「友だちとお茶をしているだけでも声がかれることがあります…」
 

声は気まぐれにかすれるのではありません!

声がかすれるのには、いつも原因があるのです。
 

これから声帯の仕組みを知っていけば、かすれを改善する方法がちゃんと見えてきますよ。

それを、これからお伝えしていきますね。

目次

声がかすれる原因とは?

原因は大きく分けて2つです。

・長時間、大きい声を出した
・長時間、小さい声を出した
 

一見すると矛盾するように感じますよね?

でも声帯のことを知っていくと、きっとあなたも納得しますよ。

 

それでは、まず声を出すときの流れを簡単に説明しましょう。

当たり前ですが、息を吸います。

その息が肺から出てきて、喉の奥にある声帯というひだを振動させることで声を出します。

言葉にすると、とてもシンプルですね。

 

次に「声帯」とは、左右2本のひだになっている筋肉のことです。

呼吸だけしているときは開いたままです。
声帯が開いている状態

でも、声を出すときには左右のひだが閉じるのです。

筋肉なので、左右を閉じたり開いたり、振動させたりするほかにも、厚みを変えたりもします。
声帯が閉じている状態

 

ここまでのことを整理しましょう。

声を出すとは、

「声帯の左右のひだが合わさり、息を送って規則的に振動させること」

となります。
 

そして、声帯を規則的に振動させる条件になるのが、

・ひだの内側がまっすぐであること
・筋肉が柔らかいこと
・ほどよく湿っていること

この3つです。

 

声帯のことを知ったところで、早速一つ目を見ていきましょう。
 

・長時間、大きい声を出した

声帯は、「筋肉」でしたね。
 

ちょっと体で考えてみてください。

どんなスポーツでもやり過ぎると体が疲れませんか?

同じように、大きい声をずっと出し続けていると声帯も疲労するのです。
 

そして、疲れてくると体が動きにくくなりますよね?

声帯も疲労してくると、左右のひだがちゃんと閉まらなくなるのです。
 

すると、この閉まらなくなった声帯のすき間から・・・

「息」が漏れ出てしまう、ということが起きるのです。

これが「声がかすれる」ことの正体です。

 

それでは、逆に小さい声の場合はどうなのでしょう。
 

・長時間、小さい声を出した

え?小さい声でもかすれてしまうの?と思われましたか?
 

そうなのです。

実は、大きい声を出したときと結果は同じなのです。
 

ただし、ポイントは「長時間」にあります。

「長時間」とは、長電話や、窓口でずっと絶え間なく何かを説明する、などのことです。
 

例えば、皆さんは文字を書こうとペンを持つときに、親指と人差し指に力を込めて持つでしょうか?

ペンを落とさず、文字を書ける範囲の、程よい力加減(弱い力)で持つと思います。

ですが何時間も書き続けていると、たとえ力を込めていなくても、親指と人差し指どころか、手首や腕全体までもが疲れてしまいます。
 

声帯もこれと同じなのです。
 

小さい声でもずっと話し続けていると、左右のひだが疲れてくる。

ということです。
 

そして、ペンを持ち続けたときと同じように、声帯だけでなく、喉周りのほかの筋肉や筋も疲れさせることになるのです。

 

たとえ小さい声でも、「長時間」話し続ければ声帯は疲労するということ、お分かり頂けたでしょうか?

では、どういう人たちの声がかすれやすいのでしょうか?

声がかすれる人の特徴

こちらも、一見すると矛盾するように見えますが、

・喉が強い人
・喉が弱い人

です。

もちろん、細かく挙げれば他にもあります。

ですがヴォイストレーナーとしてレッスンをする中で、これらのことを特に強く感じるのです。
 

やはり喉が強い人は、大きい声をパッと出せてしまいます。

また、長時間小さい声で話し続けられる持久力もあります。
 

しかし、こういう方々は、自分の喉が強いことを自覚していないことが多いのです。

だからちょっと疲れてきても気にせず(気にならず)、ついつい無理できてしまうのでしょう。
 

逆に、もともと喉が弱い人は、弱いなりに無理をしないという感覚は身につけています。

そして、普通の人よりも持久力がないために、声を節約したいと思う人が多いようです。

なので節約と思って、自主的に声を小さくしてしまうのです。

実は、逆にそれが喉へ負担をかける出し方にしているのですが・・・。

なぜ喉に負担をかける出し方なのか?はこちらを参考にしてください。
(「声が小さい人の特徴」)
 

念のため、付け加えます。

体つきが一人ひとり違うように、声帯も同じ形の人はひとりといません。

だから、「長時間」がどれくらいかも、感覚は人それぞれです。

 

ここまでは、声を出したことでかすれる場合、についてお話してきました。

さらには、声を出していないのに声がかすれる、ということが起きるのをご存知でしょうか?
 

黙っていても、声がかすれる?

声を出していないのにかすれるなんて!と思いますよね。

しかし実際には、

・長時間、声を出さない
・喉が乾燥している

このような状態にあるとき、声がかすれる可能性があるのです。

なぜかと言うと、声帯を規則的に振動させる条件が崩れてしまうからです。
 

声帯を規則的に振動させる条件とは、

・ひだの内側がまっすぐであること
・筋肉が柔らかいこと
・ほどよく湿っていること

この3つでしたね。
 

例えば、風邪で喉を痛めたり、入院して安静にしている状態のときは、しばらくの間、ほぼ声を出さないでいることになりますよね。
 

また体で考えてみると・・・

どんなスポーツでも、久しぶりにやると体がなまって運動不足を感じませんか?
 

それと似ていて、声帯もずっと使わないでいると、筋肉がやせてしまうのです。

筋肉がやせると、左右のひだにすき間ができることがあります。
 

そうです。

そのすき間によって、「ひだの内側がまっすぐであること」という条件が崩れてしまうのです。
 

でも心配しないでくださいね。

もともとの声帯が正常であれば、時間が経つにつれて少しずつもとに戻っていきます。

さらには、「息を吐く練習」をすることで、もとに戻す助けにもなります。
(「息を吐く練習」はこちらを参考にしてください。)

 

そして「喉が乾燥している」についても同じことが言えます。

「ほどよく湿っていること」という、声帯を規則的に振動させるための条件が崩れてしまうのです。
 

ここでひとつお伝えしたいのは、

どうも、多くの方が乾燥しているという自覚がないようだ、ということです。

あまり意識を向けていない、とも言えます。
 

「乾燥」は、喉にとっては天敵です!
 

ひとつ例を挙げてみます。

「乾燥」で一番よくあるのは、寝ているときに口呼吸になってしまい、朝起きたら喉が乾燥していたというパターンです。

そのことで何が起きるのかというと・・・

口呼吸で声帯の粘膜が乾燥してしまい、左右のひだが合わさりにくくなるのです。
 

もし、自分は常に鼻呼吸です!と思っている方、寝ているときは分かりませんよ。

実のところ、私自身も昔はそう思っていた一人でした^^;

寝ているとき、たとえ鼻が詰まっていなくても、知らず知らずに口呼吸になっていることがあるようなのです。

ですので、特に空気が乾燥しやすい冬の時期には注意が必要でしょう。
 

ちなみに私は、夏の時期以外はいつもマスクをして寝ています。

夏はさすがに暑くてしませんが・・・

ほかにも、風通しの良い部屋で窓を開けたまま昼寝をすると喉をやられるリスクがあります。

クーラーの風を直に受け続けたりするのも要注意ですね。
 

それでは、声がかすれるのを防ぐには、どうしたらいいでしょうか?
 

かすれを改善する方法

改善する方法としては、

・限度を知り、無理をしない
・声を使い過ぎたら、喉を休める
・乾燥から喉を守る
・しっかり睡眠をとる

この4つを意識することです。
 

なんだ、そんなこと?

と聞こえてきそうです。
 

言葉にしてみると、そんなに難しいことではありませんよね。

とはいえ、声を専門にしている人でなければ、普段からそこまでは意識を向けていないように思います。
 

レッスンで、こんな女性がいました。

「昨日の夜はライブで大声を出して、その後飲み会に行って、今日は寝不足のまま仕事に行きました。」
 

こういう方の声は、理由を聞く前から「昨日か今日に、何かで声を使い過ぎたのかな」と感じさせます。
 

たとえ喉や声帯が健康でも、無理をし続けていくと、いつかは声帯の炎症を引き起こしてしまうでしょう。

そうなると、ひだの内側がはれたり、もっと無理をするとポリープ(小さい突起のようなもの)ができたりもするのです。

もし声帯の内側がボコッとしていたら、左右が上手く合わさらないのは容易に想像がつきますよね。
 

そうならないためにも、無理をしないことです。

使い過ぎたかも?と感じたら、声を出さないようにして喉を休めてください。

 

「乾燥」の話は先ほど沢山しましたが、改めてお伝えします。

「乾燥から喉を守る」ことも、声がかすれないための自己防衛です!
 

「乾燥」から守るには、喉を加湿してあげること。

乾燥を感じたときには水を飲んだり、のど飴をなめたり、マスクをする。
 

簡単にできることばかりですね。

ぜひ意識的に行いましょう。
 

そして、しっかり睡眠をとるのは、声帯にとって一番の栄養です。

これらを習慣にすることで、声がかすれることは格段に減っていきます。
 

(もし、しばらく経っても声がかすれたままで、「あー」と声を出して数秒しか続かないようなら、一度、専門科に診てもらうことをおすすめします。)

まとめ

最後に要点をまとめてみました。
 

・かすれの正体は、声帯のすき間からの息漏れだった。

・自分の声の限度を知り、無理をしない。

・声を使い過ぎたら喉を休めて、睡眠を良くとる。

・乾燥にも気をつけよう!
 

声のかすれは、無理しているよ!というサインです。

ちゃんと声帯に優しくしていきたいですね。

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