私は以前、友人からこんな相談を受けたことがあります。
「接客のとき声が小さいといつも上司から注意されてしまう。大きい声を出しているつもりなのに。」
「精神的に辛いけど、でも声が小さいことで仕事をやめるのもちょっと違う・・・」
彼女はそう話してくれました。
もしそんな思いをしている方がいたら、ちょっと待ってください!
小さい声を改善していく手立てはちゃんとあるのです。
それを今から分かりやすく説明していきますね。
目次
声が小さい原因とは?
声が小さいと悩んでいる人は、以下の文を見て当てはまるものはありますか?
・全体的に自信がない
・小さい声で嫌な体験がある
・幼少期から声が小さいと言われる
・話すことが苦手
全部ではないとしても、どれかしらは当てはまるのではないでしょうか?
大きく分けると、これらが声が小さい原因と言えます。
ところで、人は毎日いろんな感情を持って生活していますよね。
声を出すとき、私たちは思いのほか感情や意識に左右されているのです。
ちょっと顔の表情で考えてみましょう。
もし友だちに何か心配事があるとき、何となくそれが顔に出て伝わってくることはありませんか?
大変なプレゼンが終わった後の同僚を見かけたら、ホッとした顔をしていたり。
その表情を見て、無事に終わったんだなという情報も受け取ったりします。
それと同じように、声にも声の表情があるのです。
あなたが話す相手には、ただ声が小さいというだけでなく、同時に声の表情も伝わっているということです。
つまり、「声」によって印象を与えているのです。
ある心理学者の研究によると、「声」は人に与える印象のほぼ4割を占めるというのです。
ちなみに、見た目が約5割、話の内容は1割以下とのことです。
あなたが意図せずとも、自信がない感じ、不安な感じなどを声の表情として伝えてしまっているのです。
しかしながら、あなたがいつでも誰に対しても同じ印象を与えている、というわけではありません。
あなたが話す相手によっても変わってくるのです。
ようするに、あなたの声を受け取る側によって受け取り方も違うということです。
例えば、相手が穏やかなときと、イライラしたときではどうでしょう?
あなたの小さい声から受ける印象は、前者の方がマイナス要素は少ないはずです。
このように、一言で声が小さいと言っても、与える印象・受ける印象はいつも同じではないことが分かります。
状況にもよるし、相手にもよるということ。
もしかしたら、あなたはこれまでに元気がないとかボソボソしているとか、色々と心ない言葉を言われたかもしれません。
でも決してその言葉だけに振り回されないでほしい!
私はそう思います。
ここまで原因についてお話しました。
ではその結果として、声が小さい人はどのような話し方になっているのでしょう?
声が小さい人の特徴
やはり、声が小さいということで省エネモードになっていて、
・(話すときの)吐く息が弱い
・(話すときの)口が狭い
・姿勢が良くない(猫背が多い)
・目線が不安定
このような特徴が見受けられます。
実は、吐く息が弱くて口が狭いと、ますます小さい声を助長してしまっているのです。
それはなぜか?を説明する前に・・・
一度、声を出すときの流れを見てみましょう。
まず、息を吸います。
その息が肺から出てきて、喉の奥にある声帯を振動させることで声を出します。
(声帯については、声がかすれる原因とは? で詳しく説明しています。)
このように、肺から出てきた「息」がないと、いくら喉を頑張ってみても声は出ないのです。
息の流れに乗って声が外に出ていく、というイメージです。
そうなると、息の流れが弱い=声が前に出ていきにくい
ということが見えてきませんか?
さらには、最後の通り道である「口」が狭いことも、声を出すのを邪魔してしまう要因なのですね。
姿勢に関しても同じことが言えます。
声が小さい人に多い猫背は、どうしても呼吸が浅くなりやすいので、これも「吐く息が弱い」を助長してしまうということです。
声が小さいのに胸を張っている人っていないですよね^^;
こう見ていくと、特徴はどれもそれぞれが関連し合っていると思いませんか?
そして4つ目の「目線が不安定」はどういうことでしょう?
相手のことを見ているようで、実はあまりちゃんと見ていない…
どこを見ているのかを自覚していない…
という状態のことを指しています。
声が小さい人は、目線のことをほとんど意識していないのではないでしょうか。
実は声を出すときに「目線」は大きな役割を果たしているのです。
なぜなら、声は目線の方向に届くからです!
もちろん目線が不安定なのは、自信がないとか不安な気持ちが影響している部分もあるでしょう。
ですがこれを知るのと知らないのとでは大きな違いですよ。
ところで、あなたは今どのような声を求めていますか?
接客で声が小さい、求めるのは大きい声?
声が小さい人は、大抵いつも大きい声になりたいと言います。
特に接客のお仕事だとなおさらでしょう。
お気持ちは十分に分かります。
そしてみなさん、吐く息が弱いまま、声を大きくしようと頑張るのですが・・・
残念なことに、その頑張りはただただ喉の力みとなっているのです。
そのせいで声が詰まった感じになったり、うわずった声になったりという結果になっていませんか?
なぜかと言うと、どんなに喉を頑張っても弱い息が運んでいける声は限度があるからです。
そもそも、あなたが求めているのは大きい声でしょうか?
本当に求めているのは、
「相手に伝わる声、聞き取ってもらえる声」
ではありませんか?
ただ大きい声になっても、相手が聞き取れなければ意味がないですよね^^;
今からはもう、大きい声にとらわれることをやめてしまいましょう。
相手(お客)に伝わる声、届く声、聞き取れる声、表現は何でもいいのです。
ぜひ、あなたがしっくりくる言葉に切り替えていってください。
それでは、認識を切り替えたところで、どのように改善していったらいいでしょうか?
「声が小さい」を改善するには?
ズバリ、こうです。
「先に声を出しやすくして、その声から自信をつけていく」
という順番にすればいいのです。
自信をつけてから声を改善するのでは?
嫌な体験を解消してから声を改善するのでは?
いえいえ。
その順番である必要はありません!
これも、大きい声にとらわれていたのと同じことです。
問題を解決してから次に進む、というただの固定概念に過ぎません!
自信をつける、嫌な体験を解消する。
その作業はゴールが分かりにくくありませんか?
そしてあまりに骨が折れる作業ではないですか?
もっと気持ちを楽にして、それらの作業をとばしてしまいましょう。
あなたの過去のいろいろにフォーカスしなくていいのです。
大切なのは、今ですから。
「余計な思考を挟まないこと」
これがポイントです。
では、具体的にはどうしたらいいのか?
これからそのトレーニング方法を説明していきましょう。
効果的なトレーニング方法
大きく分けると2つです。
・息を吐く練習
・目線を定める
・(まばたきをしない)
「目線を定める」の中に「まばたきをしない」が含まれます。
声を出すとは、息の流れに乗って声が外に出ていく、というイメージでしたね。
息の流れが弱い=声が前に出ていきにくい、それなら声が出ていきやすいように「息の流れ」を促してあげればいいのです。
それでは一つ目から説明していきましょう。
息を吐く練習
発音はハーとかフーよりも、圧をかけてしっかり吐ける子音Sを使います。
静かにして!というときに口元に人差し指を当てて「シッ!」と言いますよね。
あの感じです。
ただ、シーーッと長く吐くのは何となくやりにくいです^^;
なので、できれば「スーーッ」がお勧めです。
やり方の一例を挙げてみます。
・同じ長さで吐く
スーーッ スーーッ スーーッ ・・・
・息の長さを変えてみる
スーーッ スーーッ スーーーーッ ・・・
・短い息も入れてみる
ス ス スーーッ ス ス スーーッ ・・・
ポイントは2つです。
・本気で息を吐くこと(多少ぶっきら棒なくらいで吐く)
・唇は柔らかいままで!
このときの姿勢は、壁に背面を付けて立ち、背中を壁に押し付ける感じで吐きます。
この方が普通に立って行うよりも体の感覚が得やすいのです。
猫背気味の人でも、しっかり息を吐くと自然と吸う息も入りやすくなるので「吸う方も楽になった!」と感じられるのではないでしょうか。
ここで、念のため付け加えます。
息はただ聞こえていればいいわけではありません。
しっかり吐くことが重要なのです!
もし今までの感覚で吐いていては弱い息のままですよね?
どうしてもしっかり息を吐く(本気で息を吐く)ことが分かりにくければ、始めのうちは両手で壁を押しながら吐いてみましょう。
下っ腹が踏ん張っている感覚がきたらOKですよ!
トレーニングをするときに何回を何セットやるか?の決まりは特にありません。
たとえ一日に1分でも2分でも、継続していけば確実に変化していきます。
目線を定める
A4の紙に適当な「◯(まる)」を書きます。
(適当ですが、小さくなるよりは紙いっぱいに書くつもりで。)
立ったときの目線よりやや下気味の位置で、その紙を壁に貼ってください。
(目線よりやや下気味なのは、顎が上がらないためです。)
「◯」の中を見ながら、目をそらさずに声を発してください。
例えば、
あいうえお、かきくけこ・・・
あめんぼ あかいな あいうえお・・・
見なくても発音できるものなら何でもOKです。
ちなみになぜ「◯」を書くかというと、一点を見るよりも、「◯」の空間を見る方がストレスが少ないからです。
先ほど、声を出すときに「目線」は大きな役割を果たしているとお伝えしましたよね?
「声は目線の方向に届く」のです。
だから、手っ取り早く「◯」を相手に見立てて「声を届かせる感覚」というのを体感していこう!ということです。
ひとたび目線を定めたなら、今までとは違った新鮮な感覚がくるはずですよ。
そして、さらにその応用編があります。
それは・・・
「◯」の中を見ながら、目をそらさずに声を発してください。
ただし、まばたきゼロで!
というトレーニングです。
もちろん、ずっとまばたきしないと目が辛いので、息を吸うときはまばたきをしますよ。
実は声が小さい人は、ご自身で自覚しているよりもまばたきが多い傾向にあります。
私はヴォイストレーナーをしていますが、さらにはまばたきなのに目を閉じているときの方が時間が長い、という人もよく見かけます。
ですので、いつもと違う感覚にドバッと入るために、あえて「まばたきゼロ」という真逆の状態にしてあげるのです。
誤解のないように、これは決して普段もまばたきを減らすように意識する、ということではありません!
どのトレーニングにしても、だんだんとそのトレー二ングで得た感覚にあなた自身が馴染んでいくものです。
だから、もし普段何も意識しなかったとしても、ちゃんと何かしらの変化が出てくるということなのです。
まとめ
最後にこれまでの要点をまとめてみますね。
・声は人に印象を与えるが、それは状況や相手によってさまざま。
・息の流れに乗って声が外に出ていく、というイメージを持とう!
・声は目線の方向に届く。
・相手に伝わる声、届く声を求めよう。
・息を吐く練習で「息の流れ」を促すことが最も近道。
いつもと違う感覚がきた!いつもと違う声が出た!…それらが起きたら大いに喜んでください!
その体験があなたの自信につながっていくのです。
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