「どうしたら低い声も響かせられるんだろう」
「低音は胸でも頭でも響かせると聞いたけど、結局よく分からない…」
「高い声が安定したのに、気がついたら低い声の出し方が不安定になってしまった…」
きっと、声が高い女性にとっては共感できるお悩みではないでしょうか?
ですが実のところ、響く場所を探す前にもっと他のことに注目しないといけなかったのです。
そして高い声・低い声を別ものとして捉えるのも、歌いにくくする原因なんですね。
でも大丈夫です。
それらはちょっと捉え方を変えるだけで、あなたの低い声にも明るい兆しが見えてきますよ。
これから一緒に、低い声の出し方について見ていきましょう。
目次
女性が歌うときの低い声の出し方とは?
女性が歌うときの低い声の出し方は、ズバリこうです。
「低い声も、高音や中音の声の響きを維持したまま出す!」
ちょっと意外だったでしょうか?
声が高い女性にとっては、声帯に有利ではない低い音へ行くにつれて、声帯の使い方や息のスピードなどの調整がしづらく、歌いにくさを感じるものなのです。
そのせいで、低い声になると声の響きが落ちてしまうんですね。
響きが落ちた声とは、スカスカした声、はっきりしない声、弱々しい声、といった感じの声です。
心当たりはありますか?
できれば、低音でも響きの乗った声(はっきりとした声)を出したい!
そのためにはどうしたらいいのか?そこで始めにお伝えした出し方になるわけです。
「低い声も、高音や中音の声の響きを維持したまま出す」
ということです。
もともと、声が高い女性にとって低い声が不安定になりやすいのはいたって普通のことなのです。
なぜなら声帯のサイズがそのようにできているのですから。
一般的には、女性の声帯は細くて短いのが特徴で、声帯の振動が多くなることから高い声には有利なのです。
(一方、男性の声帯は太くて長いので、声帯の振動が少なく女性より声が低いわけです。)
せっかくなら、もともと声帯にとって有利である高音の響きを使わない手はありません。
というより、高音や中音の響きを低音にも応用させることの方が、低音だけを頑なに練習するよりもずっと近道なのです。
それでは、その出し方を実現するにはどんなトレーニングをするといいのでしょうか?
これからより具体的な説明をして行きますね。
低い声を安定させるトレーニング
そもそも、なぜ低い声になると響きが落ちるのでしょう?
それは、高い声を出すときと、低い声を出すときでは息の速度が変わるからです。
音が高くなるほどに、息のスピードが必要になります。
逆に低い声はスピードが減ります。(しかし安定した息です。)
息の感覚は、例えばビール瓶に息を吹き当てて音を鳴らすときの感覚に近いです。
ゆっくりと流れ続ける量とスピードですね。
誤解のないように、低音域になったら力を抜くとか、何かを緩めるということではありません。
息の速度が変わっても、息は安定して流れているものだ、と捉えてくださいね。
そういうことで、今まで低い声が不安定だったのは、低音に見合わない息のスピードだった(息が強かった)からだと言えます。
だから、音の高さに見合った息のコントロールが必要になるわけです。
言葉だけで見ると、何だか難しそうですかね?
でも大丈夫です。
有声子音を使って、息をコントロールすることを助けてもらえるからです!
ちなみに、有声(ゆうせい)子音とは、声帯の振動によって音(声)になる子音のことです。
それでは早速、トレーニング方法を解説していきましょう。
有声子音を使う
トレーニングで使うのは、子音Nになります。
まずは発音しやすいように「ナ」でいきましょう。
発声するときは、やりやすい音型であれば何でも良いです。
ぜひ音階練習(半音ずつ音を上がる・下りる)をしてみてください。
例えばこんな感じで。
音:ソーファーミーレードー
発音:ナーナーナーナーナー
このとき、発音の仕方には大きなポイントがあります。
それは、子音Nを長めに発音すること!
実際には、半分ぐらい子音Nになる感じです。
そのように発音すると、こんな感じに聴こえると思います。
音:ソーファーミーレードー
発音:ナンーナンーナンーナンーナンー
これをまずは中音域から始めて、子音Nを長めに発音する感じを掴みましょう。
とにかく、大げさなぐらいに子音Nを長く発音してくださいね。
(ナンnnnナンnnnナンnnn〜 こんな感じで。)
発音がやり慣れてきたら、中音域から低音域に向かって音を下りて行きましょう。
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どうでしょうか?
低音に下りてきて低い声になっても、ちゃんと子音Nは発音できていますよね?
もしできなかったという場合は、鼻が詰まっているか、そもそも子音Nを発音していない可能性があります^^;
子音Nは、鼻にかからないと言えない発音なんですね。
だから必然的に声に響きが乗る(響きが集まる)ということなのです。
そして子音Nを発音しながら低音に下りれば、発声のポジションが下がらない。
つまり、声の響きを維持したまま!というのも実現するわけです。
ここで種明かしではないですが・・・
中音から低音へ、音域が移動しても常に「子音N」を基準に発声していましたよね。
とにかく子音Nを長めに発音すること!
これを意識しながら。
それが結果として、音域の移動に合わせて息をコントロールする、ということをやっていたのです。
先ほど、音の高さによって息の速度が変わるとお伝えしましたね。
中音から低音へと、音域を行き来しているのに、子音Nの響きを維持できている・・・
それは子音Nを発音できる状態を保つために(勝手に)息を調整しているから。
もし「ア」だけで行っていたら、低い声には見合わない強い息になってしまい、響きが落ちていたかもしれません…
今までのように、低い声は別のポジションだと思い、あれこれ響くポイントを探したかもしれません…
でもこのトレーニングでは、子音Nというしっかりとした基準(目安、軸)があるので迷う必要もありません。
息のスピードも勝手に調整できる、というわけです^^
高音から低音の順番で行う
中音から低音へ、この音域の移動は安定して行えましたか?
それがやり慣れてきたら、いよいよ高音から低音へと、移動する幅を広げましょう。
高音でも同じく、子音Nを長めに発音することを意識してくださいね。
声が高い人は、高音から低音にいくと声の響きが落ちてしまうのが悩みでした。
だから「高音〜低音」で子音Nを発音し続ける(狙い続ける)ことが、そのまま問題解決の糸口となるわけです。
改めて確認ですが、高い声を出すときと、低い声を出すときでは息の速度が変わるんでしたね。
歌を歌うときは、音が高くなるほどにエネルギー(息のスピード、息の量)が必要になります。
言い換えると、息のスピードがなければ、子音Nをしっかり発音することができません。
ですがこれも、安心してください。
子音Nをしっかり発音する=高音に必要な息のスピードになる、ということですので。
おおよそですが、1オクターヴ半ぐらいの幅で、高音から低音へ音階練習をしてみてください。
音:ソーファーミーレードー
発音:ナンーナンーナンーナンーナー
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・(高音から低音へ)
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子音Nを維持しながら発声できましたか?
「高音〜低音」と音域の幅が広くなるほどに、子音Nを発音するときの感覚にも幅が出てくる(違いを感じる)と思います。
音域を移動しながらも、あなたはちゃんと息のコントロールをしているのです。
だからぜひその体感をよく観察し、そして馴染んでいきたいですね。
そして応用編としては・・・
「ナ」以外にも、他の母音を組み合わせて「ノ」や「二」などの発音でも実践してみてください。
声の高い女性は、意外と母音イが歌いやすい人が多かったりしますので。
「ノ」や「二」でも、子音Nを長めに発音すること!は同じです。
「ナ」「二」などで、どの音域も子音Nが安定している場合には、子音Nを取っ払って母音だけで発声する、という流れもぜひ試してみてください。
さらなる応用編は・・・
低音があって歌いにくかった曲、声がスカスカしてしまう曲があったら、全部の音を「ナ」で歌ってみるといいでしょう。
もちろん可能な限り、子音Nを長めに発音することを意識して!
最後に補足をしておきます。
低い声を安定させるコツは、どの音域も偏ることなく声を出すことです。
高い声ばかり鍛えていたら、低音域がスカスカになっていしまった…
低い声を頑張っていたら、楽に出るはずの高音が大変になっている…
といったことはよく聞くお話です。
声帯は、とても小さいですが筋肉なのです。
低い声を鍛えたいからと、低音域ばかりを練習していたら、声帯の使い方が偏ってしまいます。
すると、他の音域を歌うときに声帯の動き(使い方)が久しぶりになってしまうので、出し方が不安定になる…
なんてことになりかねません。
だから低音だけと偏らずに、どの音域も発声をして(歌を歌って)しっかりと声帯を使うことがコツなのです。
高音も出すから、低音も安定する。
低音も出すから、高音も安定する。
ぜひこのように捉えてくださいね。
低い声の出し方〜まとめ〜
これまでの要点をまとめておきます。
・高い声を出すときと、低い声を出すときでは息の速度が変わる。
・低い声も、高音・中音の響きを維持しよう!
・子音Nを発音すると、必然的に声に響きが乗る。
・「高音〜低音」で子音Nを発音する=ポジション・声の響きを維持できる。
どうぞ無理せずにトレーニングしてください^^
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