「3番は何をしたらもっと歌いやすくなるのだろう?」
「練習するときのコツがよく分からない」
コンコーネは練習用の教材ですが、初心者の人からすれば、みんな同じような曲に見えてしまいますよね。
でも実は、1,2番と比較すると、3番はちょっと違う特徴が出てくるんですよ。
その特徴を知っていくと、練習もより効率的に進めていけますよ。
これから具体的に説明していきますね。
目次
コンコーネ50番3の特徴とは
初心者の人がコンコーネを学び始めるとき、いきなり3番から取り組む人はほぼいないと思います。
大体は1番・2番と歌い進めてきて今ようやく3番に入りました、という流れですよね。
なので1,2番と比較して3番を見てみると、大まかに3つの特徴が挙げられます。
・フレーズが長くなったこと
・飛躍の音が増えたこと
・伴奏の音が増えてたこと
まず1つ目の、フレーズが長くなったことについて。
フレーズとは、旋律(メロディ)のひと区切りを指します。
コンコーネにおいては、大体は休符があればそこがひと区切りだと捉えていいでしょう。
あとは、例えば3番の5〜8小節のように、途中でブレス(息継ぎ)があっても旋律は続いているので、5〜8小節でひとフレーズとみなします。
さて、ここで1,2番を振り返ってみると、どちらも短いフレーズが主体の曲でした。
楽譜を見れば一目瞭然ですが、1ヶ所を除く全フレーズが、長くても2小節という短めのフレーズだったんですね。
ですが3番になると、4,5小節と長めのフレーズが増えて、それが全体の半分を占めます。
それだけでも、練習曲としてほんの少しだけ、大人になった気分になるかもしれません^^
2つ目の、飛躍の音が増えたことにつて。
飛躍の音とは、ここでは音と音の幅が広くて、しかも高い音を狙うときの音を指しています。
例えば、20小節を見ると「ミード」と7度の幅(鍵盤が7個の幅)で音が飛躍しているのが分かります。
実のところ、1番でも7度の幅は1ヶ所だけありました。
ですが3番ではさらに、25〜26小節で1オクターヴの幅(8度)も出てくるのです。
後ほど解説しますが、ぜひ効率の良い練習をして頂きたいと思います。
3つ目の、伴奏の音が増えたことについて。
まず、1,2,3番どれも同じ拍子で、4分の4拍子になります。
1,2番ではピアノ伴奏の部分が、4分音符(=♩)によって4拍をほぼカウントしてくれていました。
例えば、手や足で拍を(タン タン タン タン)と取っていたなら、伴奏のカウントと一致するわけです。
一方で3番になると、同じ4分の4拍子でも、右手の音が増えて裏拍も音を弾くようになります。
そうなると、手や足で(タン タン タン タン)と取ると、拍を叩いていないときにも音が鳴る(聴こえる)という状態になるんですね。
本来は、伴奏の音が多い方が歌いやすくなる(助けになる)ものです。
しかしながら、拍を取るのが苦手な人にとっては、歌う音が迷ってしまう、テンポが取りにくくなる、などと感じる場合もあります。
実はこの先も、曲が進むにつれていろんな形の伴奏になっていくんですね。
ですので、伴奏の音が増えても安定して拍を取れるように、今のうちにぜひ慣れてしまいましょう。
それでは早速、3番の歌い方について解説していきます。
コンコーネ50番3の歌い方
これから解説で使う小節数は、全音楽譜出版社から出ている中声用の楽譜をもとにしています。
1,2番と違って3番からは曲が長くなり、2ページ分を合わせて全部で41小節になります。
混乱しないように、ぜひ楽譜と照らし合わせてご覧ください。
まず、3番はハ長調(ドから始まる調)になります。
4分の4拍子なので、1小節に4分音符(=♩)が4つある、という意味です。
ト音記号のすぐ右側にある大文字のCのようなマークが拍子記号で、C=4分の4拍子(4/4)のことを表しています。
速度記号について
楽譜の左上をみると、太文字で「Andante con moto(アンダンテ コン モート)」とあります。
これは速度記号で、この曲をどれくらいのテンポで歌うのか?の目安を示しています。
Andante=歩く速さで(速過ぎず遅過ぎず)
con moto=動きをつけて
これを組み合わせて、 Andante con moto(アンダンテ コン モート)は「歩くような速さで、動きをつけて」という意味になるわけです。
先ほど3番の特徴として、伴奏の音が増えるとお伝えしました。
伴奏の右手部分(3段あるうちの真ん中)を見てみると、歩みを促してくれるような旋律(メロディ)になっていますよね。
ちなみに、楽譜の始めのページを見ると「楽語解説」が載っているので、そちらもぜひ参考にしてください。
1〜4小節について
スラーがあるので、歌い出しは滑らかに、音が途切れないように歌いましょう。
階名(ドレミ)で歌うと音が途切れてしまう人は、いったん階名の子音を取っ払って、階名の母音部分だけで歌う練習をしてみてください。
例えば、1,2小節の階名は「ミファソド」ですよね。
「Mi-Fa-So-Do」から母音だけを取り出して、「イ-ア-オ-オ」と歌います。
すると、子音を発音しないので唇の動きが減り、階名のときよりも口が開けやすくなるのです。
そうなれば当然、声も滑らかになっていく(進みやすくなる)わけです。
(1〜4小節の旋律)
結局のところ、「母音」でしか歌声を繋ぐことができないのです。
階名で歌うと声が途切れていたのは、「母音」の滞在時間が短かったから。
母音部分だけの練習をした後で、改めて、また階名に戻して歌ってみると、きっと(練習する前よりは)レガートに近づいていると思いますよ。
3番に限らずとも、歌いにくさを感じていた曲があれば、それらもぜひ「母音部分だけで歌う」という練習を試してみてください。
19,20小節について
「ミード」は7度の幅があり、音が上がった「ド」ではデクレッシェンドの表示がありますよね。
自分の感覚で声を弱くしようとしても、初心者の人は喉を締めてしまいかねません。
「ミド」で喉が苦しい(喉が上がる)人は、クレッシェンド・デクレッシェンドを、以下の方法で行ってみましょう。
(1)
「ドーレーミー」の「ミ」をしっかり歌います。
このとき、脇腹か背面(息を吸うと膨らむところ)に両手を当てて、その部分が膨らみを保ったまま(へこもない)を維持してください。
そうすると、声が安定して保ちやすくなります。
(2)
そして、上の「ド」は、ミと同じ力量のつもり(ミよりも弱く歌おうとしない)と思ってください。
このときも、両手を当てた部分はへこまないように維持し続けます。
(19〜20小節の旋律)
手の平からの伝達は、私たちが思う以上に脳が情報をキャッチするんですね。
ですので、ただ感覚だけで歌うよりは、手の平を当てて体の動きを感じながらの方がはるかに効率がいいです。
25,26小節について
この2小節にまたがって1オクターヴの幅が出てきます。
26小節では音が2つ(上のミと下のミ)がありますが、よほどの事情がなければ上のミを選択し、1オクターヴの幅で練習したいですね。
喉の力みを回避して、体を使ってしっかりと音を歌う練習方法をお伝えします。
いったん階名の発音は横に置き、「サ(Sa)」の発音で歌います。
これは、子音Sをしっかり発音することで、体で踏ん張るという体感を得るためです。
ですので、意識的に子音Sを長めに発音するのがコツですね。
早速、「サ」の発音を使って、25,26小節を歌って見ましょう。
「Saでミミミドを歌う」
ことのきも、脇腹または背面(息を吸うと膨らむところ)に手の平を当てると分かりやすいですね。
下のミを歌っているときに、体が緩まずにしっかりと踏ん張っている感覚がくるはずです。
そして、再び発音を階名に戻してからも、体の感覚はそのまま(「サ」のときと同じ)で歌うことを意識してください。
30〜32小節について
「ド-シ-ソ-ファ-レ-ド」は、2度-3度-2度-3度-2度、という幅で音が進行しています。
何となくで歌っていると音程が曖昧になりやすい部分でもあります。
何だか音程が取りにくいと感じる人は、「ナ(Na)」の発音を使って練習してみてください。
「Naでドシソファレドを歌う」
子音Nは有声子音なので、Nでも音程に入ることが出来ます。
つまり、「ナ」の発音で歌うと子音も母音も音声になるので、音程の滞在時間が増えるわけです。
また子音Sと同様に、子音Nもしっかり発音することで体の踏ん張りが増えます。
なので母音アなどで練習するよりも、子音Nを使った方が喉への負担が少ないとも言えますね。
伴奏に合わせて歌ってみよう
初心者の人に限らずですが、アカペラで歌うとつい、自分の歌いやすいようにテンポが伸び縮みしやすいものです。
焦り癖のある人はテンポが速まったり、逆に歌いにくい部分はゆっくりになったり。
もしくは息が続かないからと、全体的に速いテンポで練習していたり。
そういった知らないうちについた癖や傾向に気がつくためにも、一度メトロノームを使ったり、伴奏に合わせて歌ってみるといいでしょう。
伴奏に合わせて歌ってみたときに、テンポ遅れてしまう箇所や、歌いにくさを感じた箇所が見つかったら、そこだけを切り取って部分練習をしてくださいね。
まとめ
最後に要点をまとめておきます。
・3番は、1,2番よりもひとフレーズが長くなる。
・音と音の幅が広くなった。
・1オクターヴの幅が出てくる。
・階名で歌うと声が途切れるときは、母音部分だけで練習してみる。
ぜひ効率よく練習していってください^^
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