「2番は音が少なめでシンプルがから歌いやすいかもしれない」
「見た感じだと2番だったら、1番よりも簡単に歌えるのかな」
コンコーネを始めたばかりだと、このように思う人もいるかもしれません。
確かに、パッと見た感じはシンプルですよね。
ですがいざ歌ってみると、そんな単純ではないことが分かると思います。
これから2番のポイントを知って、ぜひ効率良く練習していきませんか?
目次
コンコーネ50番2のポイントとは?
2番のポイントは、初心者の人はとにかく「しっかり息を流す」ことです。
いきなりそう言われても、始めは分かりにくいかもしれません。
その理由についてこれから解説していきます。
その前に、あなたは2番の楽譜をパッと見たときどんな印象を持ちましたか?
1番に比べると、 2番は音符の数が少ないし、音の動きもゆるやか、大体は音が隣り合っている、だから歌いやすいかも?
もしこのように思ったとしたら・・・
いえいえ!
そんなことはありません!
音を長く伸ばす(維持する)のはそんな簡単なことではないのです。
念のため、ここではただ音程とリズムを取り、鼻歌程度に歌うときの話ではありません。
ちゃんと声を出して人前で歌う、試験で歌うとなったときのことを前提にしています。
実は、初心者の人が頑張って歌おうとすると、伸ばす音ではどうしても喉に力みが入りやすくなるんですね。
喉に力みが入るとどうなるでしょう?
息の流れが滞る(流れにくくなる)ので、必然的に歌声も進みにくくなってしまうのです。
なぜなら、息の流れに乗って声が前に出ていくからです。
息がなければ、声は一切出ません。
2番では、伸ばす音から始まり、しかも1,2小節〜3,4小節〜5,6小節と徐々に音が高くなっていきますよね。
さらには、似たような展開がその少し後にもう一度出てくるのです。
このような構成なので、喉に力みが入ったまま歌い進めると、悲しいかな最後の最後まで苦しい曲となってしまうことは想像に難くありません。
そうならずに、できる限りあなたの声を伸び伸びと音に乗せられるよう、以下の2つの練習方法をご紹介します。
・音に合わせて息を吐く
・手首を振る
ひとつずつ説明していきましょう。
音に合わせて息を吐く
まず、息の吐き方は「ス~」になります。
圧をかけて吐く方が体が踏ん張りやすく、息も安定して吐きやすいからです。
カタカナで書くと「ス(Su)」ですが、厳密には子音Sだけで発音します。
つまり口は「ウ」の形にならない、唇をすぼめないで、リラックスした状態で息を吐きます。
唇がリラックスとは、口を閉じているときの状態だと思ってください。
子音Sの発音で「安定して息を吐く」とはこのような聴こえ方になります。
曲に入る前に、簡単な音型で「安定して息を吐く」ことをあらかじめ練習しておきましょう。
「ドレミレド:音に合わせて息を吐く」
吐く息が、だんだん強くなったり、だんだん弱くなったりしないように意識します。
1音目からフレーズ末尾まで、同じエネルギー(同じ力量)で、金太郎あめのようなイメージで安定して吐いてください。
安定して息を吐くことに慣れてきたら、実際の旋律(メロディー)に合わせて息を吐いてみましょう。
音が上行していく部分をピックアップしました。
「1~6小節」
「9~16小節」
ただ普通に歌っていたら、きっと旋律が進むにつれて息の流れは停滞して(進みにくくなって)しまっていた・・・
ですがこの練習をした後なら、それがかなり改善されるはずです^^
手首を振る
歌いながら、体の横で手首を振るという方法になります。
柔軟体操のときみたいに、四方八方に遠慮なくブンブン振ってください。
なぜ手首を振るのかというと、体の踏ん張りを増やしたいからです。
体の横で手首を振るとかなり揺さぶられるので、バランスを保とうとして勝手に重心が踏ん張りだすのです。
息は、喉だけではどうにも流れていきません。
ですが体の踏ん張りが増えると、誰でもちゃんと息が流れやすくなるのです。
そのためにも、手首は遠慮なくしっかりと、思いっきり振ってください。
いま実際に、先ほどの上行する旋律を歌いながら、体の横で手首を振ってみましょう。
「1~6小節」
「9~16小節」
歌い出した途端に手首の振り方があまくならないように!
また、内側ばかりに振ると手首が疲れるので、勢いよくブンブン振りにくいです。
四方八方に元気よく、しっかりと振った方がより効果を実感できますよ。
コンコーネ50番2の歌い方
ここで使う小節数は、全音楽譜出版社から出ている中声用の楽譜をもとにしています。
調について
まず、2番はト長調(ソから始まる調)になります。
ト音記号のすぐ右側にシャープ(♯)がありますよね?
五線譜でみると、ファの音の高さにシャープが付いています。
なので2番のト長調では、ファの音はいつもシャープをつけることになります。
拍子について
シャープのさらに右側には、大文字のCのようなマークがありますね?
これは拍子記号といい、4分の4拍子(4/4)のことをさします。
4分の4拍子とは、1小節に4分音符(=♩)が4つあることを表わしています。
速度記号について
次に楽譜の一番上の左側を見ると、太文字で「Moderato(モデラート)」とあります。
これは速度記号で、「中くらいの速さで」という意味になります。
楽譜の前のページに「楽語解説」として色々と載っているのでぜひ参考にしてください。
それでは、早速歌い方の解説をしていきましょう。
クレッシェンド・デクレッシェンドについて
この曲は本来、クレッシェンド・デクレッシェンドのための練習曲となっています。
ですが初初心者の人は、まずは音の強弱は気にせずに、安定して声を出す(維持する)とこを念頭に練習しましょう。
それにはちゃんとした理由があります。
前の方のページにある「練習曲の解説」をご覧になりましたか?
2番の解説に「ここではcresc.とdim.の訓練が課題である」が、それと同時に「cresc.とdim.は相当に難しい」とありますよね。
cresc.=だんだん強く、クレッシェンド
dim.=だんだん弱く、デクレッシェンド
初心者の人は「のどで、cresc.とdim.を作ってしまう傾向がある」とも指摘しています。
先ほど、2番のポイントで初心者の人が頑張って歌おうとすると、伸ばす音ではどうしても喉に力みが入りやすくなるとお伝えしました。
伸ばす音で喉が力み、強弱でもさらに力んだら、本当に歌い辛いですよ…
何より力んだ喉のままでは、あなたがどんなに強弱を試みたところで、それは形にはならない(聴いている人には伝わらない)のです。
そういうわけで、強弱のことは当面の間は何も気にせずに練習しましょう。
(試験でも気にしないでいいくらいです。)
とはいえ、少しコツがあります。
最初の1〜4小節で説明しますね。
1〜4小節について
1,2小節の音は「ソーーーラーー」で、3,4小節は「ラーーーシーー」ですね。
(1)
まずは出だしの「ソ」をしっかりと歌い出します。
(2)
2小節目の「ラ」は、ソよりも強く歌わない(ソと同じ力量のつもり)と思ってください。
そうすると、聴き手には少なくともずっとクレッシェンド(ずっと強い声)にはならなくなります。
(3)
そして3小節目の「ラ」は、2小節目でのラよりもしっかり目に歌い出します。
(4)
4小節目の「シ」は、ラよりも強く歌わない(ラと同じ力量のつもり)ということです。
(「シ」は、直前のラよりも弱く歌おうとしない。)
ちなみに、2番は全部で28小節あるのですが、そのうち21小節分が上記のパターンになるんですね。
必ず、1,2小節のように「4拍伸ばしたら→音が上がって3拍伸ばす」というパターンで、クレッシェンド・デクレッシェンドが付いているのです。
なので2番は、全体的に上記のことを応用させることができると言えます。
「ソ」は子音Sをはっきり発音しよう
階名(ドレミ)には、必ず子音がついていますよね。
その中でも、無声子音である子音Sは、しっかり発音することで発声的にも役割を果たしてくれる、とても頼もしい子音なのです。
しかも先ほど、音に合わせて息を吐く では、子音Sを使ってしっかり息を吐く練習をしているので話しは早いですよ。
なぜなら、息を吐く練習のときの子音Sに母音オがついたら、階名「ソ」になるからです。
このような感じに聴こえます。
「ソの子音Sを練習」
2番の最初の歌い出しは「ソ」で、しかも全音符(♩×4個)なので4拍も伸ばすことになりますね。
とにかく歌い出しは、曖昧な感じとか、何となくで歌い出してはいけません。
しつこいですが、クレッシェンドがあるからと弱い声から歌い出すのも違います。
そこで、子音Sの助けを借りるというわけです。
子音Sをしっかり発音することで、たとえ短めでも、声が出る直前に体が踏ん張ってから歌い出す、という状態に持っていきやすくなるのです。
そして、子音Sをしっかり出しているのに、その直後の母音アがひるむ(弱くなる)ことの方が難しいので、結果的に「歌声がしっかり出た」という感覚にもなるんですね。
もちろん、歌い出しの「ソ」だけでなく、楽譜に出てくる「ソ」はどれも子音Sをしっかり発音するといいです。
子音Sを発音した分だけ歌いやすくなるのですから。
4拍目に4分休符があるとき
4分休符とは、4分音符(♩)と同じ長さの休符のことです。
2小節目の「ラ」の後ろにあるのが4分休符になります。
ところで、2番の楽譜で「4拍目に4分休符がある」という小節を探すと、いくつも見つかりますよね?
1,2小節のように、「4拍伸ばしたら→音が上がって3拍伸ばす」というパターンのときは、必ず最後の拍に、つまり4拍目に4分休符があります。
そのとき、伴奏の方も見てみると、同じく4拍目が4分休符になっているんですね。
歌も伴奏も同じ場所に休符があるので、4拍目は無音になるわけです。
一瞬ですが無音になることで、つい動揺しやすい部分かもしれません。
もしくは、拍を数えることに苦手意識がある人は、次の小節の1拍目が遅れてしまいやすい、という傾向があります。
そのような場合には、音に合わせて息を吐く練習を2番の伴奏に合わせて行ってください。
そしてブレス(息継ぎ)のタイミングを、感覚として馴染ませてしまいましょう。
(ブレスのためだからと、ずっと声を出して練習していては喉がもたないので^^;)
2番の伴奏に合わせて息を吐くとは、たとえ声を出していなくても、「体」自体は曲を歌っているのとほぼ同じ働きをしているということなのです。
ブレス加えて、体を使う練習にもなるのですから一石二鳥ですね^^
伴奏に合わせて歌ってみよう
2番の特徴として、1小節の音が少なく(最大で2つしかない!)、伸ばす音が多いことが挙げられます。
シンプルな曲ほど、粗がでやすく、ちゃんと歌うのが難しいものです。
そういうことで、アカペラ(無伴奏)で練習していると、どうしてもテンポが遅れやすい曲だと言えます。
(歌と伴奏どちらも休符のときは、ブレスが遅れやすいというお話もしましたね。)
伴奏に合わせ、ぜひ全体を通して歌う練習もしておきましょう。
1番・2番どちらもModeratoなのに、2番の伴奏はテンポが速いものが多く見受けられます。
こちらの伴奏は、テンポが程よく、人の声が入っていない伴奏という基準で選び載せていました。
「コンコーネ50番2の伴奏」
全体を通して歌うことで、まだブレスが遅れやすい箇所だとか、歌いにくい箇所が見えてくると思います。
そのような箇所は、通して歌いながら改善するのは遠回りです。
その部分だけを切り取って、ぜひ部分練習をしてくださいね。
最後に補足です。
私は普段ヴォイストレーナーをしていますが、色んな方を見る中で「声楽の曲はビブラートをつけた方がいいのでは?」と思われる人が割といらっしゃるようにお見受けします。
声楽の曲=ビブラートをつける、という決まりは全くありません!
まして2番は、その特徴によって喉に力みが入りやすい曲なのです。
もし無理にビブラートをつけようとして喉に更なる力みが入ったとしたら、もはや声が進まなくなってしまいます。
そういうことで、ビブラートのことは一切気にせずに歌って大丈夫です。
まとめ
最後に要点をまとめておきます。
・子音Sで「安定して息を吐く」練習が、2番の上達に役立つ。
・手首を振ると、息が流れやすくなる。
・2番は強弱を気にせず、安定して声を出すこと。
・「ソ」は子音Sをしっかり発音すると歌い出しやすい。
ぜひ変化を楽しみながら練習していってください^^
コメント