コンコーネ50番の歌い方とは?No.1の練習方法をご紹介!

歌声の出し方

「教育学部の試験科目を見てコンコーネ50番の存在を知りました。」

「中学校の音楽教師を目指しているのに声楽はやってなくて…コンコーネが歌えるのか心配です。」

「コンコーネの歌い方が分からなくて素人感が否めません。」
 
このように初めてコンコーネを知った人は不安がありますよね。

でも大丈夫ですよ。

ただぼんやりと全体を見るのではなく、ちゃんと目的を定めて練習していけば確実に上達していきます。

ぜひ、その方法を試してみませんか?

目次

コンコーネ50番とは?

コンコーネ50番とは、簡単に言えば声楽のための教則本です。

基礎を練習するためのもので、声楽の道を志す人なら知らない人はいません。

誰もが必ず始めに勉強するもののひとつと言えます。

そういうことで、基礎中の基礎を勉強するのがコンコーネだと思ってください。

ではなぜ、教育学部の試験でもほぼ必ず入っている実技なのでしょうか?

それはやはり、音楽を教える先生は最低限、声楽の基礎の勉強に向き合ってください、ということだと推察します。
 

ところで、コンコーネ50番は「中声用」が一般的です。

移調したもので高声用と低声用もあるので、お間違えのないようにしてください。

楽譜を見てみると、歌う旋律と伴奏だけで歌詞などは全くありませんよね。

なので歌うときは、階名(ドレミ)や母音などで歌うことになります。
 

50番とあるように、全部で50曲の課題があり、後半にいくと技術的にも高度な曲がでてきます。

これは別に、50曲のうち何曲まで歌った(制覇した)から凄いとか技術が上がったとかいう話にはなりません。

また、パッと見た感じだとポップスなどの曲よりも音が少なくシンプルに見えるんですね。

ですがここであなどってはいけません!

たとえ音が少なくてシンプルでも、しっかり歌おうとするとなかなか大変なものです。  

もうすでに練習されている人ならうなずけますよね^^;

たとえ最初の数曲だけだとしても、何回も歌って技術を磨く。

そういう心積もりで取り組むものだと言えます。
 

もし教育学部の受験で初めてコンコーネを知ったという人は・・・

決して焦る必要はありません。

知った今から取り組んでいけばいいことですから。
 

ただ先ほどお伝えしたように、見た目はシンプルですが、歌ってみると見た目以上に難しいのです。

単純に音程やリズムを取ればOKだと思わない方がいいです。

そして「歌」というのは、自分の声を自分で客観的に聴くことができません。

ですから、受験するためにということで声楽の先生にみてもらい、ちゃんと受験対策をしましょう。

その方があなたも改善点が分かるし、より自信をもって試験に臨めます。

もちろんやみくもに先生を探すのではなく、(習っているなら)ピアノの先生や、音楽の先生にぜひ相談してみてください。
 

ちなみに、「コンコーネ」とは人の名前です。

作曲家だったイタリア人のコンコーネ氏が、なんと1800年代に作曲した教本なんですね。

今現在購入できるものは、ちゃんと日本人向けに編集されたものになります。

それでは早速、コンコーネの練習方法を説明していきましょう。

コンコーネの効果的な練習方法

前提としてどの課題も、音程とリズムは先に練習しておいてください。

ではまず始めに、いきなりですが階名(ドレミ)で歌ってみましょう。

これは、どの部分が大変なのか?どの発音だと難しく感じるか?などを知るためです。

これからご提案する練習方法をやった後だと、その歌いにくい部分がどう変化するか?を見るためにも必要です。

要するに、ビフォーアフターをしっかり感じるためにまずビフォーを見ておこう!ということですね。

これは何番を取り組むときでも同じことです。
どの課題であっても、始めは必ず、何かしらの歌いにくさがあるものです。

その部分を始めに確認しておきましょう。
 

Saで歌う

全部の音を「Sa」で歌う練習です。

このとき、子音Sを長めに発音することを意識するのがポイントです。

子音Sは音にならない無声子音なので、どんなに頑張っても喉では出せません。

子音Sを発音するには、しっかりと息を吐く以外にないのです。

だから、結果的に「体を使って声を出す」という状態に持っていくことができる、というわけです!

課題に入る前に、まずは簡単な音型で発声練習をして、子音Sをしっかり発音する感覚を得ておきましょう。

参考までに、音階練習の音源を載せておきます。

「ドレミレド」の音階練習

 

「ソファミレド」の音階練習

 

子音Sを長めに発音することだけがミッションではありません。

子音Sの後は、母音アでちゃんと口を開けることも意識してください。

なぜかと言うと、階名で歌うときは子音と母音の連続で、口が余計に開きにくくなるからです。

ですので「Sa」というシンプルな発音のときに、あらかじめ「口を開けて歌う」という感覚に慣れておきたいのです。

「ソファミレド」をSaで歌う例

 

発声練習で「Sa」の発音に慣れてきた人は、1番の旋律を使って、全部の音に「Sa」をつけて歌ってみてください。

どの音も全部、子音Sを長めに発音しながら歌うのです。

体が疲れる、Saで歌うのが大変、という感覚がきてもご心配なく!

それはしっかり取り組めているという証拠です^^
 

Naで歌う

全部の音を「Na」で歌う練習になります。

こちらは「Sa」の練習よりもやや難易度が上がります。

なので無理に取り組まずとも、まずは「Sa」でじっくり練習してからにしましょう。

こちらもSaのときと同様に、子音Nを長めに発音していきます。

ただし子音Sとの違いとして、子音Nは有声子音だということがあります。

有声子音とは、音声になれる子音のことですね。

つまり、子音Nから音程に入れるというわけです。
 

子音Nは、いわばしっかり立ち向かう子音です。

中途半端に発音してもただ「Na」と聴こえるだけで、発声の助けにはなりません。

子音Nをちゃんと長めに発音することで、自然と体が踏ん張り(体が緩まず)、声が前に出やすくなるんですね。

また鼻にかかる子音なので鼻腔の共鳴も増えて、声に響きが乗りやすくなるという効果も期待できます。

もしも「Na」の発音がどうにもやりにくい場合には、「Ma」の発音を使ってもOKですよ。

こちらも簡単な音型で発声練習をしてみましょう。

「ソファミレド」の音階練習

「ソファミレド」をNaで歌う例

 

階名の母音部分だけで歌う

繰り返しになりますが、階名で歌うとどうしても口が開きにくくなるんですね。

そうなる原因は、口周りに力みがある、「子音-母音」の移行が遅い、声が進まない(息が弱い)などがあります。

ですので階名の子音をいったん全部取っ払って、母音部分だけで歌う練習をします。

例えば「ソファミレド(So-Fa-Mi-Re-Do)」は、「オアイエオ」となります。

1番の出だし「ド〜レ〜ミ〜ファソ〜」なら「オ〜エ〜イ〜アオ〜」と歌うことになります。

子音がなくなると、口の開け閉めがなくなるので、当然ながら口の動きはかなりシンプルになりますよね。

そのお陰で、より口が開けやすくなるというわけです。
 

また、階名で歌うと声が途切れやすい人は、母音部分だけの練習によってレガートに(滑らかに)歌う感覚も身につけたいです。

フレーズが1本のラインのように歌うことを意識してください。
 

これらの練習をした後で、改めて、また階名で歌ってみましょう。

歌いにくかった部分では、なにかしらの良い変化が出ていませんか?

焦らずに、少しずつでもビフォーアフターを感じられていくといいですね^^
 

ひとつ補足をします。

練習のときに、ただ通して歌うだけでは、苦手な部分はずっと苦手なまま残ってしまいます。

歌いにくいなと自覚した箇所は、しっかりと部分練習をしてください。

部分練習とは、歌いにくい部分(そのフレーズ)だけを繰り返し練習することです。

これをすることで効率良く上達でき、あなたの不安も払拭していけるのです。

それではこれらの練習を踏まえて、1番の歌い方を見ていきましょう。

コンコーネ50番のNo.1の歌い方

ここで使う小節数は、全音楽譜出版社から出ている中声用の楽譜をもとに明記しています。

まず、1番はハ長調(ドから始まる調)になります。

また楽譜の始めのところに、大文字の「C」のようなマークがありますよね?

それは、4分の4拍子(4/4)と同じことです。

4分の4拍子とは、1小節に4分音符(=♩)が4つあることを意味しています。

では早速、歌い方の解説をしていきますね。
 

ブレス(息継ぎ)について

まずブレスは、休符がある場所と、ブレス(「v」←これ)の表記があるところだけです。

息が足りないからと、上記以外のところで自由に息を吸わないこと。

いつも同じ場所でブレスをする中で、息がちゃんと足りるように調整していくのが練習というものです。

特に、11,12小節(レソミド)は、ひと息で歌えるようにぜひ練習を重ねてください。
 

クレッシェンド・デクレッシェンドについて

クレッシェンドは声を大きくしようとして喉を押すことになりがちです。

またデクレッシェンドも、ただ声を弱めるのではありません。

どちらも安定した歌声のまま、息のコントロールによって行うものなのです。

しっかりした声(安定した声)で全部の音を歌うこと自体、とても大変な作業です。

なので、始めのうちはクレッシェンド・デクレッシェンドは一切気にせずに練習しましょう。
 

ビブラートについて

無理にビブラートをつけようとして不自然な歌い方になっては本末転倒です。

ビブラートはつけるというより、本来は自然に出る声のゆらぎなのです。

そういうことで、練習時に(試験のときも)気にする必要はありません。
 

1〜4小節について

歌い出だしからいきなり、1オクターヴ以上の上行形があります。

この上行形につられて、顎が上がらないように気をつけましょう。

ここで顎が上がると、喉がすぐに苦しくなってしまいます。

対策として、目線を真っすぐ前に保つこと!

そして音は上がっても、音程をとる感覚も目線の高さで、真っすぐ前に声を出すつもりで歌ってください。
 

とにかく、歌い出しはとても重要です。

もしどうしても顎が上がる人は、頭の上にものを乗せて歌うといいですよ。

例えば、中身がずっしり入ったウェットティッシュ(円柱の形のもの)や箱のティッシュなどは最適です。

(他のものでも頭に乗るサイズで、落ちても危なくないものは可。)

真っすぐ立って、良い姿勢になってから頭に乗せましょう。

(タオルを土台に敷くと、より安定します。)
 

落とさないようにと気を配るあまり声を弱くしてはダメですからね^^;

頭の上に乗せて、落とさないように、でもしっかり声を出して歌うのです。

私は普段ヴォイストレーナーをしていますが、この方法はレッスンでも実際にやっていることなんです。

これをやると、良い姿勢が保てる、顎が上がらない、だから喉も閉まりにくくなる、体の踏ん張りが増える、などの相乗効果が見込めます。

ですので大抵の人は「いつもと違う感覚で歌えた!」と仰いますよ。
 

4,5小節について

4小節で「ド〜レミ〜」と歌った直後の休符でブレスをしますね。

休符だからと、あなたの感覚までお休みしていませんか?

そうなると、5小節目の始めの音も同じ「ミ」なのに、改めて歌い直す形になってしまいます。

高い音なのに、余計に歌いにくくしているのです。
 

この際、4小節の4拍目の休符は、(ほぼ)無いと思って歌ってください!

ブレスをするから一瞬だけ間ができた、くらいのつもりで歌うのです。
 

11,12小節について

先ほどブレスのところで、この2小節「レソミド」はひと息で歌う練習をしましょうとお伝えしましたね。

他にも「ソ-ミ」は音の幅が6度あり、遅れが生じやすい部分です。

そのような人は「Sa」で歌う練習を行い改善していきましょう。

「レソミド」をSaで歌う例

 

15,16小節について

5小節からずっと音の幅がある(音が隣り合っていない)音程が続いていましたね。

ですが15小節になると、急に「ファソミソ」と近い距離の音程になるのです。

人によっては音程が定まりにくいところかもしれません。

そのようなときは、子音から音程に入れる有声子音を利用しましょう。

「Na」で練習して、「ファソミソ」の音程を丁寧に確認していきます。

「ファソミソレ」を Naで歌う例

 

21,22小節について

22小節にブレスの表示がありますね。

その直後の「ラ」は、音程が中途半端になりやすい傾向があります。

もし上手く音程が定まらない場合は、一度「ラ」の音で声を伸ばしてみてください。
つまり「ミーレドー(v)ラーーー」と歌ってみるのです。

「ラ」の音にちゃんと着地して、その音を伸ばし、音程を安定させましょう。
 

23,24小節について

23小節は、全音符といって「ソ」を4拍伸ばします。

声が止まってしまう、拍が分からなくなる場合には、伴奏の音をよく聴いてください。
4拍をカウントしてくれています。

それを聴きながら、心の中で「イチ ニ サン シ」と数えれば大丈夫ですよ。
 

最後の24小節まで、気が抜けないように歌いたいです。

「ド」の音が短くなると、声が跳ねて聴こえますので。

4分音符ですから、ちゃんと1拍分は歌うことを意識してくださいね。
 

伴奏に合わせて歌ってみよう

部分練習をしたら、全体を通し伴奏に合わせて歌ってみましょう。

「コンコーネ50番1の伴奏」

全体を通したときに、まだ歌いにくさを感じたなら再びそこを部分練習する、ということを繰り返してくださいね。

まとめ

これまでの要点をまとめておきます。 

・子音(Sa,Naなど)を使って効率よく練習しよう。

・難しいところは部分練習が上達のコツ。

・強弱をつける前に、まずはどの音もしっかり声を出すこと。

・ビブラートは気にしない。
 

実のある練習ができますように、健闘をお祈りしています。

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